芦田愛菜、『さよならマエストロ』を語る “父”西島秀俊は「みんなに愛されるキャラクター」

TBS日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』に出演中の芦田愛菜のインタビューコメントが公開された。

本作は、TBS金曜ドラマ『凪のお暇』(2019年)、『妻、小学生になる。』(2022年)などを手がけた大島里美脚本のオリジナルストーリー。世界的天才指揮者の夏目俊平(西島秀俊)とその娘・響(芦田愛菜)の物語が紡がれていく。

芦田が演じる響は、音楽を嫌い、音楽のない人生を送っていたが、父・俊平が突然帰国することになり、気まずい同居生活を始めることに。

第8話では、いよいよ最終回が目前に迫る中、ドイツのノイエシュタット交響楽団からのオファーを断り、晴見フィルや響たちとのこれからを選んだ俊平、そしてそんな俊平に複雑な思いを抱く響の葛藤が描かれた。5年前の事件以来すれ違う親子にとって重要な回となる9話を前に、芦田に現在の心境を聞いた。

これまで晴見フィルのことを気にかけているのに、素直に行動に移せなかった頑なだった響の心が解けはじめた。響の心境の変化について、芦田はどのように感じているのだろうか。

「響は5年前までバイオリンのソリストとして1人で音楽と向き合ってきましたが、晴見フィルの皆さんと出会い、7、8話で小村さん(西田敏行)や天音ちゃん(當真あみ)の“技術”ではなく心から“楽しんでいる”演奏に触れて。音楽とは誰かに聴かせるということ以前に「大好きだ」という気持ちを表現するだけでいいんだと感じて、すごく心を打たれたんじゃないかと。自分もこんなふうに純粋に“音楽が好き”というだけでよかったんだと、思えるようになってきた頃なのかなと思います」

続けて、俊平との関係性にも変化を感じており、“仲直りしたい”と思い始めていることを明かす。

「響は本当はお父さんのことが大好きだし、音楽のことも大好きだからこそ素直になれなくて。殻に閉じこもってしまう自分も嫌いだし、どうしても素直になれない部分があったと思うんです。でもそろそろ仲直りしたいと思い始めていて、一緒に暮らすうちに俊平さんの音楽を愛する気持ちに触れて、少しずつ解けていっているなと。きっと、自分も何かアクションを起こしていかなきゃいけないという気持ちになっていると思います」

響は、父とは反対に音楽の無い人生を送っていたという役どころ。芦田はここまでの展開を振り返り、印象的なシーンについて「やはり3話でバイオリンを久しぶりに手に取るシーンですね。もちろん、私自身バイオリンが初めてで、それが難しかったというのもありますが、楽しそうに音楽を演奏するみんなを見ていてどうしても、自分の中の『音楽がやりたい』『音楽が好き』という気持ちが勝ってしまう感じをうまく表現したいと思って演じていたので」と語った。

そして、「あとは8話で天音ちゃんのバイオリンを聴いているシーンも印象的です。『音楽がすごく好きなんだ!』という気持ちを父親にぶつける天音ちゃんを見て、響もきっと、小さい頃にお父さんや先生に教わって少しずつ弾けるようになった時の嬉しかった気持ちや情熱を思い出したんだろうなと。私自身もお芝居をしていて、自然と涙が溢れてきてしまいました」と振り返った。

芦田との共演シーンが多い西島は、現場でも俊平のように「みんなに愛されるキャラクター」とコメント。

「西島さんはすごく気さくで優しい方です。共演者やスタッフの皆さんにもすごく距離が近くてフレンドリー。俊平さんも愛嬌があってみんなに愛されるキャラクターだと思いますが、まさに西島さんもそういう方だなと思います。家での撮影が多いのですが、撮影現場はすごくわきあいあいとしていて。鏑木さん(満島真之介)が家に来るシーンでは、鏑木さんのキャラクターがとても素敵なので、彼のセリフがなんかこう……面白くなってきてしまって(笑)、笑いが止まらないこともありました。私も西島さんも結構ツボが浅いので、面白味のないセリフで何故か2人でツボってしまって(笑)。瑠李さん(新木優子)と俊平さんがキスをしていると勘違いして響が怒るシーンがありましたが、そのシーンで振り向いた西島さんのお顔を、テストで唐突に見た時にも面白くなってしまって、我慢できなくなったこともありました(笑)」

西島とのコミカルなシーンや、気持ちをぶつけ合う真剣なシーンではどのように気持ちの切り替えていたのかについて聞かれると、「途中まではやはり、響が俊平さんに一方的に思いを伝えたりだとか、2人ががっちり噛み合うというより、どちらかがうまく5年前の事件について避けていたというか。衝突を避けながら会話をする感じがあったと思いますが、9話で、2人が思いを伝え合うようなすごく大切なシーンがあって。その撮影の時は、西島さんもそういう雰囲気を作って引っ張ってくださっていましたね」と明かした。

また、ある場面では響の気持ちになりきれた感覚があったようで「特に事前に話し合って作り上げる感じではなく、まさに音楽みたいに、その雰囲気をお互いで噛み合うような感じでした。そのシーンは台本を読んだ時、『気持ちのピークをここに持っていこう』といったことを決めていたんですが、ある場面でスイッチが押されたようにすごく気持ちが溢れ出てきてしまって。なんだかそこからすごく響の気持ちになりきれた1日でした」と当時を振り返った。

最後に、親子にとって大切な回となりそうな第9話、そして最終回へ向けて次のようにメッセージを送った。

「響は、5年前のある出来事によって音楽が大好きで指揮者として生きることが全てだった俊平さんからそれを奪ってしまったことに引け目を感じているので、その思いと向き合って、これから俊平さんとどう接していくのか、そして俊平さんの夢を後押しすることができるのかというところが見どころになってくると思います。さらに、「さよならマエストロ」という題名についても、その伏線がどのように回収されていくのかも注目かと思います。最終回、また音楽に向き合うことになる響が、どんなふうに晴見フィルの皆さんと、そして家族みんなで温かい結末を迎えられるのかを楽しみにしていただけたら嬉しいです」
(文=リアルサウンド編集部)

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