一番の目抜き通りでも「こちらも空き家 その隣も空き家…」中山間地の根深い問題を“マッチング”で解消へ 精肉店→駄菓子屋の例も

静岡県内でも人口減少などを背景に、年々深刻化する空き家問題。特に中山間地域での空き家が目立つ中、この問題を解決しようと空き家を有効活用するプロジェクトが始まっています。

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<伊藤進さん(82)>
「先祖のこと思うと、ちょっと考えにゃならんこともありますが…」

浜松市天竜区に住む伊藤進さん、82歳。水窪町にある空き家だった妻の実家を手放すかどうか親族で検討を進めています。

<伊藤進さん(82)>
「私も年を取るもんで、何にもできんくなっちゃうとね、なんしょ、できる間に処分して」

空き家を放置してしまえば、地域に迷惑をかけてしまう。その一方で、先祖代々続く家や土地を手放すのは「先祖に申し訳ない」という思いが錯綜し、決断にはもう少し時間がかかりそうです。

<平沢文江さん>
「こちらも空き家ですね。そのお隣は精肉店でした。空き家です。その隣も空き家です。そこの普通の民家、ここも空き家です。唯一の商店街で一番の目抜き通りです」

天竜区水窪町の商店街に住む平沢文江さん。目抜き通りでさえも、空き家が目立つようになりましたが…

<平沢文江さん>
「ほとんどがちゃんと管理の手が入ってるんですよ。まだほとんどのお宅がちゃんと親族の方、近所の方がやってくださってます」

平沢さんは2023年11月、地元の人たちなどと「空き家活用検討委員会」を立ち上げ、「空き家を活用してほしい」という所有者と「活用したい」利用者をマッチングさせる事業を始めました。

<平沢文江さん>
「一番不安なのが、空き家の持ち主が分からなくなっちゃうこと。このタイミングでスタートしないと(家主が)わからなくなってから始めたら、何一つとしてわからないじゃないですか。どんなに頑張っても」

一方、山間地にある静岡県森町でも、すでに空き家を活用した取り組みが進んでいます。

浜松市から移住し、移住コーディネーターも務める岩瀬進哉さん(43)は、8年前に空き家を購入、ゲストハウスに改装し、生計を立てています。

岩瀬さんのゲストハウスがある商店街に地元の女性が4年前に駄菓子屋をオープンしました。もともと精肉店でしたが、空き家になり、岩瀬さんや地元の人たちでリノベーション。店にあったショーケースはそのまま利用され、当時の面影を残しています。

<岩瀬進哉さん>
「店がどんどん減ってしまっているので、そういったところに一つ一つ新しいお店が入ってくださって、歩いて楽しめるお店を回って楽しめるような街になっていったらいいなと思います」

年々増え続け、社会問題にもなっている「空き家」。空き家問題に取り組む専門家は所有者が問題を先送りにせず、処分方法を早く決断することが問題解決に一番重要だと強調します。

<NPO法人ふるさと福井サポートセンター 北山大志郎さん>
「所有者が、『さぁ売ろう』となった時に、売れる状態じゃないというのが一番困った所です。一番ベストなのは、家が空き家になる前から空き家になることを見越して、家族でこの家をどうするかって話し合いをしていただくことが大事だと思います」

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