四球を減らし持ち味発揮に期待のロッテ・美馬学

「決まっている選手以外は競争だと思うので、しっかり入れるようにアピールしていきたいと思います」。

投手陣チーム最年長のロッテ・美馬学は、先発ローテーション入りを目指す。22年はチームトップの10勝を挙げ、同年オールスター明けは7試合・44回を投げて5勝0敗、防御率0.82とエース級の働きを見せた。昨季は先発ローテーションの一角として期待された中で、開幕から“らしくない”投球が続き、初勝利は7月8日の日本ハム戦。少ない球数で長いイニングを投げる持ち味を発揮した9・10月は、5試合・28回1/3を投げ、2勝2敗、防御率3.18。シーズントータルでは18試合・98回1/3を投げ、3勝9敗、防御率4.76だったが、9・10月は24年シーズンに向けて期待の持てる内容で終えた。

シーズン終了後には「後半は調子が良くなってきたので、その調子を維持できるように、それ以上にレベルアップできるようにと思ってやっています」と、ZOZOマリンスタジアムで、新シーズンに向けてトレーニングしている姿があった。

具体的に調子が良くなった理由について訊くと、「純粋に体の調子が良くなってきたという感じですね。前半は本当に体が全然良くなかったので、それが良くなってきて、動くようになってきてトレーニングもしっかりできるようになってきて良くなってきたのかなという感じです」と教えてくれた。

12、1月も「後半良くなったのも続けてという感じですかね。プラス重たいものを持ったりしていましたけど、それをベースにという感じですね」と、取り組んできたことを継続しつつ、プラスでトレーニングを積んだ。

美馬といえば、少ない球数で投げるのが特徴のひとつ。今季、長いイニングを投げるために必要なことについて「去年は四球が増えていたので、少しでも四球を減らして持ち味であるゴロを打たせるピッチングができたらいいなと思います」と、四球を減らすことを挙げた。

美馬は制球力がよく、移籍1年目の20年は123イニングを投げて与四球はわずかに25、同年規定投球回に到達したパ・リーグの投手の中で最も少ない与四球数だった。しかし、昨季は98回1/3を投げ、与四球は移籍後ワーストタイの32。

四球が増えた原因について「シンプルに調子が悪かったので、なかなかゾーンで勝負できなかったんじゃないかなと思っています」と自己分析した。与四球が増えた原因は、前半戦体の調子が悪かったことも関係しているのだろうかーー。「そうですね、いくら振ってもスピードが出なかったり、思っているような球が投げられなかったので、自信持って投げられなかったというのが一番の原因かなと思っています」。

昨季は悔しいシーズンを送り、昨秋取材した時には「最初からチームに貢献したい」と話すなど、今季に懸ける思いは人一倍強い。「そもそもローテーションを勝ち取らないことには始まらない。そこまでにしっかりアピールしていきたい」。若い先発陣が増えてきた中で、若手にはないベテランの味がある。競争を勝ち抜き、今季は数多くチームの勝利に貢献していきたいところだ。

▼ 美馬学の移籍後のイニング数/与四球数
20年:123回 / 25
21年:115回1/3 / 32
22年:117回2/3 / 29
23年:98回1/3 / 32

取材・文=岩下雄太

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