陸上自衛隊の離島防衛専門部隊「水陸機動団」の三つ目の連隊が、3月中に長崎県大村市の陸自竹松駐屯地に新編される。隊員数は現在の約2400人から3千人規模に拡大する見込み。昨年12月に団長に就いた北島一陸将補(51)が取材に応じ「三つ目の連隊ができ、水機団が評価されることで、戦争を防ぐ力の強化につながると確信している」と述べた。
-大村に新編する連隊の役割や課題は。
連隊は島しょ防衛の「水陸両用作戦」で中心的な役割を果たす部隊。三つになると、(有事の際に)一つはいつでも駆けつけられ、隙のない防衛体制を築ける。
課題は早期の「戦力化」。隊員個々の技術や部隊としてのチームワークを高め、早急に力を発揮できる実力を養いたい。練度の意味ではここからがスタート。
-2022年12月、国家安全保障戦略など安保3文書が策定され、防衛費が大幅増額される。水機団の運用にどう影響するか。
連隊が三つになり水機団が強化されるのも、防衛力の抜本的強化の一環だ。防衛省の新年度予算要求には、無人水陸両用車の開発も含まれている。敵が待ちうける中に海から上陸して奪回するのは非常に危険な任務。隊員の犠牲も局限(範囲を限る)できる。
-国家安保戦略には日米同盟の強化も含まれている。
2月25日から始まった米海兵隊との共同訓練「アイアン・フィスト24」にも参加し、ボートでの上陸など一連の流れを訓練し、連携を深めている。積み重ねにより、日米共同の「島しょ部を防衛する」決意を示し、侵略の抑止にもつながる。
-本県は被爆地であり、防衛関連施設が集中すると「標的にされる」などと懸念する声もある。
ロシアのウクライナ侵攻では、侵略が成功すると思わせてしまった。防ぐには十分な防衛力を持って、相手を思いとどまらせることが必要。弱い状態が、安全をもたらすのではない。全ての国に、防衛する意志も能力もあると知らせることが、戦争の確率を減らすために必要だ。太平洋戦争のように、日本から戦争を仕掛けることは100%ないと思っている。
【略歴】きたじま・はじめ 神奈川県横浜市出身、防衛大卒。米海兵隊指揮幕僚大などに留学したほか、防衛省の統合幕僚監部運用第2課長や西部方面総監部(熊本市)の幕僚副長を歴任した。趣味はジョギングと読書。水機団本部の陸自相浦駐屯地近くにある愛宕山も登る。好きな作家は東野圭吾で「2冊に1冊は号泣する」。まだ食べていない佐世保バーガーやレモンステーキなど、地元グルメや酒も楽しみにしている。