芽生えた「見とけよ」11年目の大瀬良大地 広島カープ “開幕投手” は同期の友&ライバル・九里亜蓮に… 隠さぬ本音

5年連続務めた “開幕投手” を同期入団の 九里亜蓮 投手に今シーズン、譲る形となった広島カープの 大瀬良大地 投手―。その胸のうちを語った。

広島カープ 大瀬良大地 投手
「いろんなところを考えても仕方ないというか…。うん。そこの土俵にはまずは立っていないと思っていたので」

若手が中心となり、しのぎを削った2024年の春のキャンプ。その中で1人、黙々と個別メニューをこなす 大瀬良大地 の姿がありました。

オフの10月にかねてから痛みがあった右ひじを手術。プロ11年目に入り、今一度、自身の体としっかり向き合いながら慎重に調整を行っていました。

大瀬良大地 投手
「ぼく自身もその日その日の状態を見ながらっていうところもあったので、体の状態はこういうふうになってほしいとか、こういう状態でグラウンドに行って、こういう状態で練習を終えて、治療をまた宿舎に帰ってやってもらってというふうなのは全部、明確にして1日1日を過ごしました」

大瀬良は、そんな日々の中でも高い意識を持ち続けます。マウンドでうなるような速球を見せられなくても、ひたむきに練習に取り組む―。その姿勢で若手たちの手本となります。

大瀬良大地 投手
「日南の最初の方は別組でぼくもやらせてもらっていたので、逆にそういう人がちゃらんぽらんな姿でみんなの見えるようなところでやっちゃいけないなっていうふうに思っていましたので。まわりに『大地さん、ちゃんとやるべきことやっているな』とか、変な後ろ指を指されないように毎日、やるべきことをやっていたっていう感じですかね」

そんな取り組む姿勢もあってか、キャッチャーが立った状態から始まった日南のブルペンも、沖縄では高い出力での投球が可能となりました。

順調にシーズン開幕までの調整が進む中、新井貴浩 監督から “開幕投手” の発表がありました。

広島カープ 新井貴浩 監督(沖縄 2月17日)
「昨年、中4日で行ったりですとか、しっかりがんばってくれましたし、ことしは(九里)亜蓮に任せてあげたいということで決めました」

昨シーズンまで大瀬良が5年連続で務めてきた “開幕投手” の座は、同期入団の 九里亜蓮 に託されました。

大瀬良大地 投手
「候補的には亜蓮とトコ(床田寛樹)と(森下)暢仁。3人、まずは上がっていただろうと思う。誰がなってもチームとしては文句がない選手たちだと思いますし、昨年・おととしとかの成績もそうですし、今のぼくの状態もそうですし、いろんなところを考えても仕方ないというか、そこの土俵にはまずは立っていないと思っていたので」

チームの顔を象徴する “開幕投手” ―。その座を譲る形となった大瀬良ですが、近年の自身の成績、さらには右ひじの経過もあり、冷静に首脳陣の決断を受け止めました。

2022年 8勝 9敗 防御率4.72
2023年 6勝 11敗 防御率3.61

大瀬良大地 投手
「いろんなことを見てもあまり、そこに希望を抱くというか、ワンチャンスあるかなっていうふうに思ってしまうと、あせりというかそういったものも出てきてしまうし、欲も出てきてしまうので、そこはもう、あきらめてじゃないですけど、本当にひじのことだけに集中していたので。いざ、( “開幕投手” が)決まったときはやっぱり、くやしさはあったんですけどね」

心で受け止めながらも、にじみ出てしまうくやしさ―。しかし、入団から10年、常に横にいた九里が勝ち取った “開幕投手” に大瀬良は新たな感情も芽生えたといいます。

大瀬良大地 投手
「ここ数年はそれこそ数字でいうと、ぼくは負けていますし、そういうところで、よりこれまでとも違った刺激みたいなものはすごく感じているし。今回、“開幕投手” というところを彼が勝ち取ったわけなんですけどね、『見とけよ』と、ぼくもそういう思いにさせてくれています」

その思いは、ともに成長してきた九里も同じでした。

広島カープ 九里亜蓮 投手
「シーズンの成績においても負けないぞって気持ちで毎年、やっていましたし、本当に彼はチームのエースとしていろんな重圧がある中でやってきていると思いますし、もう、ぼくがどうにか切磋琢磨してやっていくことによって何か感じてくれるものがあればいいなとも思いながらやっているので、本当に “いい友” であり、“よきライバル” であり…、そういう存在かなと思います」

プロ入りから11年目。ともに成長してきた仲間から受ける新たな刺激を胸に、一からの再スタートを大瀬良は走り出します。

大瀬良大地 投手
「昨年、数字でいうと5つ借金しているピッチャーなので、そう簡単に(ローテーション)枠に入れるとは思っていないので、しっかり若い子たちと競い合って、そういった中で勝ち取ることができれば。(昨シーズンは)2位で終わりましたけど、全然、求めているものでもなかったですし、みんなで胴上げをできるように、そして、ちゃんと1年間、どんな形でもチームに貢献して、気持ちよく、ぼく自身も気持ちよく胴上げできるように…、そういうふうにしたいなと思います」

◇ ◇ ◇

青山高治 キャスター
やっぱり大瀬良投手と九里投手、この同期の関係というのは特別ですよ。友であり、ライバルでもあり。でも、ちゃんとくやしいと思うし、ちゃんと「見とけよ」って思えるんですよね。

田村友里 キャスター
「見とけよ」ってお互いに思い合うからこそ、切磋琢磨してここまでやってきたんだろうなって思いました。

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
「良き友であり、良きライバル」―。なかなか言えないセリフだと思うんです。田村さん、泣いちゃっているじゃないですか?

田村友里 キャスター
ちょっと感動しちゃって。いや、天谷さんだって…

天谷宗一郎 さん
…いや。そういうことを言える関係性がチームに多ければ多いほど、チームって上がっていくと思うんです。

石田充 アナウンサー
そうですね。手術はしていますけど、10年間、2人とも大きな離脱というのがないというところもチームを支えている証でもあります。大瀬良投手が見る前で九里投手が “開幕投手” としてどんなピッチングをするのかも楽しみです。

(RCC「イマナマ!」カーチカチ!テレビより)

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