引っ越し後、以前住んでいた市から「住民税の督促状」が届きました。「無視」するのが正解でしょうか?

住民税を支払う市区町村について

そもそも住民税とは、地方税の一種で、その地域に住む人が地域社会の費用を分担するために支払う必要のある税金です。住民税はさらに市町村民税と道府県民税に分けられます。また、住所のある市区町村で個人が負担するものを個人住民税といいます。

住民税は、その年の1月1日時点に住所のある市区町村に対して支払いが必要です。会社員の場合は、一般的に会社が給与から天引きして住民税を支払っているため、自分で支払いをする必要はありません。しかし、副業をしていたり、フリーランスであったりする場合は、自分で住民税を支払います。

引っ越しをしたのが1月1日以降であれば、その年の住民税は以前住んでいた市区町村で納める必要があります。そのため、引っ越し先の市区町村での支払いや請求が来ることはないでしょう。一方、以前住んでいた市区町村に支払いをしていない場合は、請求や督促状が届く可能性があります。

そのため、引っ越し後に以前住んでいた市から住民税の督促状が届いた場合、詐欺ではなく、本来の納付地域に住民税を適切に納めていない可能性が考えられます。督促状が届いた場合は、督促状にお問い合わせ先が記載されていればそちらに、ない場合は以前住んでいた市区町村の納税課に問い合わせてみるといいでしょう。

住民税のよくある疑問1:支払いをしたのに督促状が届いた

支払いの時期によっては、行き違いで督促状が発送されてしまっている可能性があります。納付が完了している場合は、督促状を破棄しても問題ありません。住民税は、納付されてから市区町村で確認が取れるまでに約2週間かかるようです。そのため、納付期限間近で納付した場合は情報の更新が間に合わず、督促状が送付される可能性があります。

住民税のよくある疑問2:給与天引きなのに督促状が届いた

転職をしている場合、給与天引きとなる特別徴収がされていない可能性があります。6月以降の給与明細で住民税が控除されているか確認しましょう。詳しい内容は勤務先へ確認を行うことをおすすめします。

個人が行える節税対策

所得控除をうまく活用して確定申告をすると、税金の還付を受けられる可能性があります。こちらでは、会社員でも実施できる主な節税方法を3つ紹介します。

医療費控除

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費が一定額を超える場合に、その医療費をもとに算出された対象金額の所得控除を受けられる制度です。

以下では、国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」の内容を基に、医療費控除の計算式をご紹介します。

(実際に支払った医療費の合計金額-保険金などで補填される金額)-10万円または総所得金額の5%

総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額が差し引かれます。なお、医療費控除の金額は最高で200万円です。

セルフメディケーション税制

セルフメディケーション税制とは、健康の維持増進や疾病予防への一定の取り組みを行う個人が対象であり、スイッチOTC医薬品と呼ばれる要指導医薬品や一般用医薬品のうち医療用から転用された医薬品を購入した際に、費用の所得控除を受けられる制度のようです。その年の自己負担額が1万2000円を超える場合に、超えた部分で最大8万8000円までが控除されます。

ふるさと納税

ふるさと納税とは、自治体に寄附をした金額の一部が確定申告後に所得税および住民税から控除される制度です。自治体に寄附をすると、その地域から返礼品として、特産物などが受け取れます。ふるさと納税では、原則、自己負担額の2000円を除いた全額が控除の対象です。

引っ越し時期によっては前の市区町村で住民税を支払う

住民税は、その年の1月1日時点に住所がある市区町村で支払いが必要です。そのため、1月1日以降に引っ越しを行い、前の市区町村で住民税を支払っていない場合は、督促状が届くこともあり得ます。

督促状が届いたら、まずは記載されているお問い合わせ先か、市区町村の納税課に確認してみましょう。また、住民税を負担に感じている方は、所得控除によって節税ができる確定申告がおすすめです。

出典

国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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