北朝鮮15歳少女が語る「見せしめ強制体験」の生々しい実態

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は8日、国連で北朝鮮の人権問題を担当するエリザベス・サルモン特別報告官が来る第55回国連人権理事会で発表する報告書は、北朝鮮での人権侵害に対する「責任究明」を焦点とする内容になっていると報じた。

今年は「国連北朝鮮人権調査委員会(COI)報告書」の発刊から10周年となることもあり、北朝鮮の人権侵害に対する責任追及がさらに強まりそうだとRFAは伝えている。

ところで、北朝鮮の人権侵害の代表例とも言えるのが「見せしめ」目的の公開裁判や公開処刑だが、実はこれらの事象が、北朝鮮社会の実態を把握するための手掛かりになっている側面もある。

特に、極刑の執行を見ることを強制される体験は、人々に強烈な印象を残す。例えば昨年5月、スイスのジュネーブで開かれた「人権と民主主義のためのジュネーブ首脳会議」でスピーチした脱北者出身の作家であるハン・ソンミさんは、自身に脱北を決心させた2009年のある出来事について語っている。

当時15歳だったハンさんは、ある女性が公開処刑される現場を強制的に「参観」させられたという。

「(北朝鮮当局は)彼女の夫と4歳の娘を含む、地元の人すべてを集めた。彼女を杭に縛り付け、3発の銃弾を撃ち込む場面を見守るよう強要しました。 私はあとのきの銃声と、彼女が前に崩れ落ちる姿を決して忘れられません」

こうした証言なしに、北朝鮮社会の生々しい実態を把握することはできない。デイリーNKジャパンでは今週、北朝鮮で20年にわたり潜伏した元韓国軍兵士や、同性愛を「罪」とされた在日朝鮮人女性たちの悲劇について伝えたが、これらもまた、公開裁判なくしてはわからなかったことだ。

この点は、権力の横暴に立ち向かう人々が闇から闇に葬られる他の権威主義体制と比べ、北朝鮮の独裁体制の特徴が、色濃く表れている部分と言えるかも知れない。

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