世帯年収が高く、子ども本人の成績も悪いので奨学金審査に通らないかもしれません。大学4年間の学費はどのくらい必要なのでしょうか?

年収が高いと奨学金を受けられない? 世帯年収の基準とは

独立行政法人 日本学生支援機構の奨学金(以下、奨学金)を受給するには、世帯収入が家計基準を満たしている必要があります。奨学金には無利子で貸与される第一種奨学金、有利子で貸与される第二種奨学金、返済不要の給付型奨学金の3種類があり、それぞれ図表1のとおり家計基準が設けられています。

【図表1】

独立行政法人 日本学生支援機構「進学前(予約採用)の第二種奨学金の家計基準」「進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準」より筆者作成

第一種・第二種奨学金の貸与額算定基準額とは、次の式で計算した金額です。

貸与額算定基準額=課税標準額×6%-市町村民税調整控除額-多子控除-ひとり親控除-私立自宅外控除(※100円未満切り捨て)

例えば、本人と共働きの両親、中学生の兄弟の4人家族の場合、世帯年収の目安は第一種:803万円、第二種:1250万円、併用:743万円です。世帯年収がある程度高くても、家族構成などの条件によっては貸与型奨学金を利用できることがわかります。

また、給付型奨学金の支給額算定基準額は、次の式で計算します。

支給額算定基準額=課税標準額×6%-(市町村民税調整控除額+市町村民税調整額)(※100円未満切り捨て)

例えば、学生本人と片働きの親、中学生の兄弟の4人家族の場合、世帯年収の目安は第1区分:271万円、第2区分:303万円、第3区分:378万円です。世帯年収が一般的に高いと言われる家庭では、給付型奨学金を受給するのは難しいでしょう。

奨学金を受けるには本人の学力や学修意欲も求められる

奨学金を受給するには、学生本人も一定の学力基準をクリアしていることが必要です。例えば、第一種奨学金・給付型奨学金を受けるための学力基準には「高等学校等における申込時までの全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上」という項目があります。

第二種奨学金の学力基準はほかの2種類より緩やかで「学業成績が平均水準以上と認められる者」であることが条件の1つです。ただし、いずれの奨学金でも評定は絶対に満たさなければならない条件ではなく、学修意欲があることが認められれば、奨学金を受けられる場合もあります。

大学4年間で学費はどのくらい必要?

奨学金を受けられなかった場合、大学4年間で学費はどれくらい必要なのでしょうか。

日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果(2021年12月20日発表)」によると、大学入学時にかかる子ども1人当たりの学校納付金、通学費を含む学校教育費は図表2のとおりです。

【図表2】

日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果(2021年12月20日発表)」より筆者作成

国公立大学と私立大学では費用に大きな差があり、私立大学では文系と理系でも必要な費用が異なります。また、通学手段などによっても、実際に必要な費用は変わります。本人が希望する進学先を確認し、必要なおおよその費用を見積もっておきましょう。

大学4年間の学費は進学先やなどで大きく異なる

世帯年収が高い場合や子どもの成績が良くない場合は、奨学金を受けられなかったり、受けられる奨学金の種類が限られたりする可能性があります。各奨学金の基準に照らして、利用できるかどうか確認してみましょう。

また、大学4年間で必要な費用は進学先によって大きく異なります。本人の希望をきちんと把握して、どれくらいの費用がかかるのかおおよその見積もりを出してみるとよいでしょう。

出典

独立行政法人 日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第二種奨学金の家計基準
独立行政法人 日本学生支援機構 進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準
独立行政法人 日本学生支援機構 進学前(予約採用)の給付奨学金の学力基準
独立行政法人 日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第一種奨学金の学力基準
独立行政法人 日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第二種奨学金の学力基準
日本政策金融公庫 教育費に関する調査結果

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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