認知症や肺がんなど、発症リスクを予測 血液検査で高精度に KIN放射線治療・健診クリニック 沖縄県内初

フォーネスビジュアスで示される検査結果の例(提供)

 NECグループの「フォーネスライフ」(東京)が提供する、数滴の血液からタンパク質を解析して、4~20年以内に疾病が発症するリスクを高精度で予測できる検査「フォーネスビジュアス」が、今月から県内では初めてKIN放射線治療・健診クリニック(金武町)で可能となった。認知症など四つの疾病の発症リスクを確率などで示し「見える化」することで行動変容を促し、生活習慣改善を支援する。(政経部・大城大輔)

 フォーネスライフは、タンパク質7千種類を測定する技術を持つ米「ソマロジック」と提携。NECグループのICTやAI技術を組み合わせて、世界唯一の分析技術を確立した。 

 1に近いほど高い予測精度を示す数値は、最も信頼できる遺伝子による認知症の予測検査でも「0.678」だったが、タンパク質を解析するフォーネスビジュアス検査では20年後の予測が「0.70」、5年後は「0.78」を示した。その他の疾病も「0.70~0.80」と高い数値になっている。

 連携する病院で採血された献体を解析し、疾病の発症確率や、平均と比較したリスクの倍率といった数値、肝臓脂肪や内臓脂肪など「現在の体の状態」を示した報告書を受診者に提供する。認知症は20年、心筋梗塞・脳卒中と慢性腎不全は4年、肺がんは5年以内のリスクが分かる。

 検査後は、同社の保健師資格を持つコンシェルジュが健康改善メニューを提案するオンラインでの健康相談サービスが、受診後1年間に2~4回受けられる。

 同社によると、2021年のサービス開始後、全国数千件の受診があり、自治体での導入実績もある。

 検査項目は「乳がん」「大腸がん」「前立腺がん」「胃がん」「すい臓がん」などについても研究開発中で将来的には50以上の疾病への対応を目指す。発症すると、本人や介護する周囲の経済的・身体的・精神的負担が大きいため、発症前の段階で予防するのが狙いだ。

 フォーネスライフの溝辺武史マーケティング本部長は「健康診断を受けても、生活習慣改善までつなげられないこともある。実際に将来の疾病発症リスクの確率を示すことで、自分ごと化して行動変容につなげられる」と話した。検査はコンシェルジュサービスも含めて5万円程度。受診に関する情報や問い合わせはフォーネスライフのホームページか、電話は11日から(0120)009439(平日午前9時半~午後5時半)。

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