国民年金には「保険」の機能もある! 意外と知らない「障害年金」について解説

国民年金には「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の機能がある

「国民年金」と聞くと、多くの人は老後に生活資金が支給されるというイメージを持っているかも知れません。これは国民年金の機能の1つである「老齢年金」ですが、ほかにも国民年金保険料を払っている人には、「障害年金」「遺族年金」を受ける権利が与えられます。

それぞれの機能を簡単にまとめると、以下のようになります

老齢年金:保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に受け取れる。納付月数によって年金額は変わるが、基本的に65歳から受け取れる年金。(※1)

障害年金:国民年金に加入中、もしくは20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間において、病気やけがが原因で障害が残った場合に要件を満たすと受け取れる年金。(※2)

遺族年金:国民年金に加入中の人、国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の人で日本国内に住所を有していた人、老齢基礎年金の受給権者であった人、老齢基礎年金の受給資格を満たした人が亡くなった際、遺族(※3)が受け取れる年金。

※1 20歳から60歳までの40年間、低所得や障害などの理由で全額免除を受けたとしても、全額納付した場合の年金額の3分の1が支給される。

※2 障害等級によっては、20歳未満の人も受給対象になる。

※3 遺族とは原則として「18歳未満の子のある配偶者」と「18歳未満の子」。

国民年金加入者が、重い障害を負ってしまった場合に支給される金額は?

障害年金は国民年金に加入していれば、現役世代の人も受け取れます。

障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があり、病気やけがで初めて医師の診療を受け、障害の状態にあると診断されたとき、国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。

国民年金に加入している人は、以下の3要件をすべて満たすとき、障害認定日の翌月分から(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日の翌月分から)障害基礎年金を受給できます。

1.障害の原因となった病気やけがの初診日が、以下のいずれかであること。

・国民年金加入期間中・20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で、年金制度に加入していない期間

2.障害の状態が、障害認定日(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)に、障害等級表に定める1級または2級に該当していること。

3.初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること(20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合、納付要件は不要)。

現在の障害基礎年金額(年額)は、図表1の通り定められています。

図表1

日本年金機構ホームページから筆者作成

実際に障害を負ってしまった場合には大変助けになる制度です。覚えておきましょう。

保険料が支払えない状態の人は、必ず手続きを!

現役世代の人に特に注意してもらいたいのは、前記の通り、障害基礎年金を受けるためには初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あることが求められていることです。

収入のない学生や、失業などにより国民年金保険料を納められない状態にある人は、「学生納付特例制度」や「免除・納付猶予制度」を活用すれば、保険料の納付を免除・猶予してもらうとともに、障害基礎年金を受け取る権利を維持することができます。

現在、何らかの理由で国民年金保険料を支払えない状況にある人は、自分が重い障害を負ってしまう事態に備え、必ず保険料の免除・納付猶予について手続きを行っておくことをお勧めします。

まとめ

国民年金の機能の1つである障害年金は、国民年金加入者に与えられる保険機能の1つです。

万一、重い障害が残るようなけがや病気にかかってしまった場合に備えて、国民年金を支払っていない人は必ず「学生納付特例制度」や「免除・納付猶予制度」を活用し、障害基礎年金を受け取れるように手続きをしておきましょう。

出典

日本年金機構 障害年金
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度

執筆者:山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

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