核兵器「現実的脅威に」 映画オッペンハイマー監督

クリストファー・ノーラン監督(Magnus Nolan氏撮影・共同)

 【ロサンゼルス共同】第2次大戦中に米国で原爆開発を率いた科学者の伝記映画「オッペンハイマー」のクリストファー・ノーラン監督(53)は8日までに米ロサンゼルスで共同通信などの取材に応じ、「世界は再び核兵器の現実的脅威にさらされている」との認識を示した。核兵器はいずれ世界を破滅に導くとの考えが「真実でないことを願う」と語った。

 映画は核開発にのめり込んでいた主人公のオッペンハイマー博士が被爆地の惨状を知って苦悩し、水爆開発には反対する様子も描く。ノーラン氏は博士の「複雑な人間像」を伝えたかったとし、生涯を振り返ることで博士の行動の理由を理解してもらうことが「作品の真の目的だ」と述べた。

 同作品は1月の米ゴールデン・グローブ賞で作品賞や監督賞など5冠を獲得。10日(日本時間11日)発表のアカデミー賞でも作品賞など最多の13部門で候補入りしている。日本では今月29日に公開される。

 作品づくりを通じ、核抑止力を巡る理論を検討したり、過去の思想家の考えに触れたりして核兵器への考え方が変わったとも説明した。

© 一般社団法人共同通信社