中国の農村をボランティア支援するルクセンブルク人

中国の農村をボランティア支援するルクセンブルク人

蓮花村で、スモモの栽培を手伝うハンセン・ニコ・ルネさん。(1月17日撮影、南寧=新華社配信)

 【新華社河池3月9日】中国広西チワン族自治区河池(かち)市南丹県の蓮花村では、春の訪れを告げるスモモの花が4千ムー(約270ヘクタール)近くにわたり満開となり、多くの観光客が訪れている。花見客の世話で忙しい村人の中に、ひと際目を引く金髪の男性がいた。ルクセンブルク人のハンセン・ニコ・ルネさんだ。

 「村は毎年スモモが咲く時期に一番にぎやかになる。大勢の花見客が来るので準備を手伝い、皆と一緒に観光客の手助けなどをしている」

 ニコさんは今年64歳。警察官を退職した後、2011年に初めて同自治区の区都、南寧市を訪れ、友人からカルスト山地に位置する河池市宜州(ぎしゅう)区の環境の素晴らしさを聞き、12年に移住した。

 宜州区で暮らし6年がたった18年3月、ニコさんは農村で貧しい村民を支援するボランティアに応募。同区劉三姐鎮の乍洞(さどう)村に向かった。

中国の農村をボランティア支援するルクセンブルク人

乍洞村で、謝万挙(しゃ・まんきょ)駐村第1書記とパッションフルーツ栽培の準備をするハンセン・ニコ・ルネさん。(2018年9月8日撮影、南寧=新華社配信)

 ニコさんが乍洞村を訪れた当時、村はまだ貧困を脱しておらず、ニコさんは村民の貧困脱却と富裕化を支援するため、同村の謝万挙(しゃ・まんきょ)駐村(村常駐)第1書記と共に村民のパッションフルーツ栽培を支援した。山地で外出が困難な問題を解決するため、村民と一緒に山に登って地形を調べ、道路整備にも参加した。

 村民とは言葉が通じなかったが、謝氏と貧困家庭を訪れるニコさんの情熱が冷めることはなかった。

 乍洞村の住民で、今は宜州市街地の貧困者移転居住地に住む賁永紅(ほん・えいこう)さん(42)は「彼は勤勉で熱心な人だった。謝書記と一緒に行動し、途中で忙しそうな村民を見るといつも手伝っていた。一緒にトウモロコシの実を取ったり、桑を刈ってカイコにあげたりした」と当時を振り返った。

 ニコさんの協力のもと、謝氏や駐村活動隊の隊員は、村の共産党支部委員会、村民委員会と共に牛や羊の養殖、果物栽培など脱貧困産業を指導。20年11月に村は貧困脱却を実現した。

中国の農村をボランティア支援するルクセンブルク人

4日、蓮花村で満開となったスモモ。(南寧=新華社配信/韋明宇)

 「最初は単なる好奇心で来たのではないかと心配したが、彼が村民に誠心誠意尽くしたいと考えていることが徐々に分かった。私と山に登り、田畑を回っても泣き言を言わず、村の環境が悪くても愚痴をこぼさなかった」と謝氏は語った。

 謝氏は21年5月に駐村第1書記の任期を終え、ニコさんも宜州市街地での生活に戻ったが、23年4月に謝氏が蓮花村の第1書記に志願して赴任すると、ニコさんも付き添い、再び農村事業支援のボランティアに参加した。

 蓮花村は南丹県北西部に位置し、200世帯763人が暮らす。果物栽培面積約5千ムー(約330ヘクタール)のうち、スモモが4千ムーを占める。県は蓮花村の地理的優位性と恵まれた資源を生かした「高山生態スモモ・千ムー賞花園」農村観光モデル区の整備に全力を注ぎ、レジャーや観光、農作業と収穫、リゾートなどの機能を一つにした農村観光区を建設した。

 「蓮花村は自然環境が良く、農村観光の条件も成熟しているが、まだやるべき事が多くある。街路灯やトイレの整備も必要だし、スモモももっと植える必要がある」。ニコさんは、今後も謝氏と村のためにできる限りのことをしていくと語った。(記者/黄耀滕)

中国の農村をボランティア支援するルクセンブルク人

乍洞村で、謝万挙(しゃ・まんきょ)駐村第1書記(手前)と仕事について話し合うハンセン・ニコ・ルネさん。(2019年6月5日撮影、南寧=新華社配信)

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乍洞村で、養鶏用ひなの配布を手伝うハンセン・ニコ・ルネさん(左端)。(2018年9月12日撮影、南寧=新華社配信)

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4日、蓮花村で、謝万挙(しゃ・まんきょ)駐村第1書記(左)と観光客迎え入れの準備をするハンセン・ニコ・ルネさん。(南寧=新華社配信/李琪)

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4日、蓮花村で満開となったスモモ。(南寧=新華社配信/韋明宇)

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4日、蓮花村で満開となったスモモ。(南寧=新華社配信/韋明宇)

中国の農村をボランティア支援するルクセンブルク人

4日、蓮花村で、謝万挙(しゃ・まんきょ)駐村第1書記と観光客迎え入れの準備をするハンセン・ニコ・ルネさん。(南寧=新華社配信)

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4日、蓮花村で満開となったスモモ。(南寧=新華社配信/韋明宇)

中国の農村をボランティア支援するルクセンブルク人

乍洞村で、田植えを手伝うハンセン・ニコ・ルネさん(中央)。(2021年4月21日撮影、南寧=新華社配信)

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蓮花村で、スモモの栽培を手伝うハンセン・ニコ・ルネさん。(1月17日撮影、南寧=新華社配信)

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4日、蓮花村で満開となったスモモの花。(南寧=新華社配信/韋明宇)

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乍洞村で、道路の補修を手伝うハンセン・ニコ・ルネさん(左端)。(2018年5月25日撮影、南寧=新華社配信)

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乍洞村で、謝万挙(しゃ・まんきょ)駐村第1書記と山道を歩くハンセン・ニコ・ルネさん。(2018年8月9日撮影、南寧=新華社配信)

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4日、蓮花村で、観光客迎え入れの準備をするハンセン・ニコ・ルネさん(左)。(南寧=新華社配信/李琪)

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4日、蓮花村で、満開のスモモを観賞する観光客。(南寧=新華社配信/韋明宇)

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乍洞村で広報活動にあたるハンセン・ニコ・ルネさん。(2019年11月15日撮影、南寧=新華社配信)

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4日、蓮花村で、謝万挙(しゃ・まんきょ)駐村第1書記と村人を訪問するハンセン・ニコ・ルネさん(右から3人目)。(南寧=新華社配信/李琪)

中国の農村をボランティア支援するルクセンブルク人

4日、蓮花村で満開となったスモモ。(南寧=新華社配信/韋明宇)

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