帰郷し笑顔で卒業式 輪島3中学校 復興へ力合わせると誓う

在校生の見送りに笑顔を見せる卒業生=9日午後0時20分、輪島市門前中

 石川県内の公立中学校72校で9日、一斉に卒業式が行われ、8608人が巣立った。能登半島地震で被害を受けた輪島市や穴水町、能登町の学校では、親元を離れて集団避難生活を送った生徒らが式に臨み、苦難の中で迎えた春に笑顔の花を咲かせ、ふるさとの復興へ力を合わせることを誓った。

 輪島市では市立中全3校の計約150人が晴れの日を迎えた。同市では希望する生徒が1月から白山市に集団避難し、今月8日に地元に戻った。3校の体育館は避難所になっているため、ランチホールのほか、近くの消防署の一室などで式が行われた。

  ●「いつかは自分も人の心温めたい」

 門前中では、卒業生17人が在校生の見送りに笑顔を見せた。卒業生代表の細川暖さんは答辞で「地震で一瞬にして日常が非日常となったが、各地から炊き出しや物資の支援などたくさんの方々が来てくれ、笑顔やぬくもりをいただいた。いつかは自分も人の心を温められるような人になりたい」と話した。

  ●能都中 感謝の答辞

 能登町能都中では49人が保護者や在校生らに見送られた。会場となった第1体育館は避難所となっていたが、避難していた住民らが式のために別の場所に移ることを快諾し、規模の縮小はなく開催された。卒業生代表の本﨑結愛さんは答辞で「地震で当たり前だった日常が奪われたが、卒業証書を受け取り、感謝している」と語った。

  ●穴水中 オペラで祝う 

 穴水町穴水中では45人が巣立った。卒業生代表の竹中愛伽さんが「みんなで作った思い出は消えることはない」と答辞を述べた。

 お祝いに駆けつけたエジプト出身でパリ・オペラ座のメゾソプラノ歌手ファラ・エル・ディバニーさん(35)は「どんな状況下でも皆さんの世代は希望と光にあふれている」と呼び掛け、「カルメン」「愛の物語」を歌った。

  ●珠洲は12日

 被災地の珠洲市の中学校は12日に卒業式が行われる。

© 株式会社北國新聞社