新日本退団オカダ・カズチカが選択したAEWってどんな団体? プロレス 界の“メジャー挑戦”は日本人レスラーにカネの雨を降らすか?

今年1月末に新日本プロレスを退団し、2月に新日本ラストマッチを行なったオカダ・カズチカが日本時間3月6日にアメリカのジョージア州ダルースで開催された米団体AEWの定期戦『AEW DYNAMITE』に電撃登場。旧知の仲であるヤングバックスと合体し、ヒールユニット「ジ・エリート」の新メンバーとして紹介された。同時にAEWではオカダと契約したことを発表。当初は世界ナンバーワンのプロレス団体WWEへの移籍が有力視されていたが、オカダはAEWとの契約を選択した。WWEと契約すればキャラクターチェンジが予想されたが、AEWではレインメーカーのキャラクターのまま、テーマ曲も変えずに出場する。

AEWは2019年に新日本との契約を満了したケニー・オメガ、ヤングバックス(マット・ジャクソン&ニック・ジャクソン)、Cody(現WWEのコーディ・ローデス)らが、大富豪のカーン一家の資本で旗揚げした新興団体だが、ここ数年でWWE退団組が続々と加わったことや圧倒的な資金力により、世界2位だった新日本を越えて、現在はWWEに続くメジャーリーガーが集まる団体として世界的に注目を集めている。日本では新日本やDDTとも交流はしており、新日本の選手がAEWに参戦したり、DDTのKOUNOSUKE TAKESHITAがDDTとのダブル所属として契約。代わりにクリス・ジェリコ、ジョン・モクスリー、ブライアン・ダニエルソンら大物選手が来日している他、新日本とはアメリカで合同興行も開催。昨年はケニーも久々に新日本マット登場を果たした。

新日本とは公式配信サイト『NJPW WORLD』でAEWの大会を配信するなど、引き続き友好関係を保っているが、契約を満了したジェイ・ホワイト、飯伏幸太、柴田勝頼、ウィル・オスプレイ、そして今回のオカダなど、AEWと契約を交わす選手も多い。

「AEWと契約するなら新日本のままでも良いのでは?」と疑問を抱く声もあるが、野球で例えるならWWEやAEWと契約をするのはメジャーリーグに移籍するようなもの。つまり今回のオカダやオスプレイは、ポスティングシステムを使ってオリックスからロサンゼルス・ドジャースに大型契約で移籍した山本由伸のイメージと被らせるとわかりやすい。

オカダに関してはWWEとの争奪戦をAEWが制したのだ。新日本を去る直前にオスプレイは「AEWとの契約の中には新日本での試合も含まれている」と話していたが、この先オスプレイやオカダ、ジェイらが新日本に参戦する時は“AEW価格”となる。オカダとは破格値で契約したと言われているだけに、WWEに移籍した中邑真輔と同じく、新日本への里帰りはしばらくないだろう。

新日本をはじめ日本の各団体は男女問わず、WWEに加えてAEWという資金力のある団体が出て来たのは脅威だろう。一方、レスラーにとって「メジャー挑戦」という選択肢ができたのはとても夢のある話で、今後は「将来の夢はWWEかAEWと契約すること」と公言してプロの門を叩く選手も現われるはずだ。

そう考えると今回のオカダの移籍は、レスラーたちにとって、とても意義のあることかもしれない。オカダは自身がメジャーで成功することにより、日本人レスラーの価値をさらに高め、真のレインメーカーとして、日本人レスラーたちにカネの雨を降らせる役割を果たしていくはずだ。

文・写真⚫︎どら増田

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