マチュアリライト兼子ただしさんが語る「病院で治せない慢性痛は“現代医学の穴”! 神経系ストレッチで慢性痛に悩む人を救いたい」

「ストレッチを医学に!」を掲げて日夜活動を続けている兼子ただしさん。スポーツ科学研究科修士号を持つ理学療法士として、日本で最初のストレッチ専門店「SSS」を経営し、20年以上にわたって痛みや体の不調改善に取り組んでいるそう。そんな兼子さんが考案した「神経系ストレッチ」について、お話を伺いました。

慢性的な痛みで日常生活に支障がある人を救いたい!

いま僕が本気で取り組んでいるのは、慢性疼痛、つまり慢性的な痛みがあることで日常生活に支障をきたしている人を一人でも多く救いたい、ということです。その救いとなる方法が「神経系ストレッチ」。そして、痛みが発生しにくい体の基本をつくる「姿勢改善」です。

神経系ストレッチは従来の筋肉や体をゆるめるマッサージや整体とは異なり、アメリカで開発されたリハビリテーション療法をベースに、神経にアプローチして体を動きやすくするストレッチ法です。国士舘大学との共同研究で医学的効果が実証されており、僕のところに来て長年の痛みやしびれが奇跡のように消えたという人が数多くいます。

僕は日本フェザー級2位のプロのキックボクサーを経て、日本で初めてのスポーツストレッチ専門店を経営しています。あるとき、リハビリをもっと極めるための過程で、病院や高齢者施設へ実習に行ったことがあります。そこで体感したのが、病院では慢性疼痛は治せず、痛み止めと湿布で対症療法をするしかないという、現代の医学の穴です。

筋肉をストレッチしても慢性疼痛は治らない!

慢性疼痛の原因となる不良姿勢を治療する方法もないため、症状は改善されません。なぜか。悲しいことに、不良姿勢も慢性疼痛も、病院にとってお金になりにくい分野だからです。その現状を見ているうちに、これこそ自分が学んでやるべきだと実感しました。慢性疼痛を解消し、姿勢を改善すれば、もっと多くの人が幸せに長生きできるはずだと。

どれだけ定期的に体を検査し、高いサプリを飲んでも、体の根本となる姿勢がゆがみ、体が弱っているサインの痛みがあったら、健康からは遠のきます。学んだ結果たどり着いたのは、慢性疼痛は筋肉のストレッチではなく、神経にアプローチする必要がある、ということ。数年前から神経系ストレッチを始めたら、世界が変わるくらい効果が出ました。

整形外科に何年も通っても、いくつもの整形外科をわたり歩いても治らなかった慢性痛が、神経系ストレッチで痛みが劇的になくなった症例はすでにたくさんあります。まったく上がらなかった腕がまっすぐ上げられるようになった、杖なしで歩けるようになった等々。もう何をやっても治らないと思っていた痛みが神経系ストレッチで消えたことで、感動の涙を流された方もいらっしゃいます。

ストレッチを医学に! 慢性疼痛治療の専門の場所をつくりたい

YouTube「ストレッチトレーナー/理学療法士 兼子ただしチャンネル」https://www.youtube.com/watch?v=Rwq5bkI7KKM

「ストレッチを医学に!」……これは、僕がYouTubeのすべての動画で繰り返しお伝えしている、僕の活動の根底となる言葉です。

僕が目指しているのは、海外にある「Physio(フィジオ)」。日本では理学療法士は病院で医師の傘下で働くのが一般的。でも、アメリカやオーストラリア、ニュージーランドなどの国では、理学療法士は、医師と同じように患者の診断をすることができたり、フィジオと呼ばれるクリニックを開業できたりと、職務範囲が日本よりもずっと広く設定されています。

骨が折れていない、わかりやすいキズがないなどの慢性疼痛と呼ばれる痛みに対して、世界的にはリハビリテーション医学を学んだ理学療法士が担当しています。痛みがあったら、まず整形外科ではなくフィジオに行く。それがオーストラリアなどの国では一般的になっています。けれど、日本にはまだありません。日本でも慢性疼痛があったら整形外科ではなく、フィジオのように慢性疼痛専門の治療の場をつくりたいのです。

僕がやりたいのは、ストレッチを医学として広め、体の機能回復や向上にもっと使ってもらうこと。神経系ストレッチは治療ではなく「加療」です。毎日少しずつでもいいので神経系ストレッチを行えば、体は確実に変わります。歯みがきや髪のトリートメントくらい、日々の習慣にしてほしい。できるところからぜひ、神経系ストレッチを始めてみてほしいと心から願っています。

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