柏木由紀[インタビュー]AKB48卒業を控えて明かす表現者としての矜持「なんだかんだで“アイドルだよね”と言われ続けるのが理想」

柏木由紀[インタビュー]AKB48卒業を控えて明かす表現者としての矜持「なんだかんだで“アイドルだよね”と言われ続けるのが理想」

AKB48の最年長メンバーで、2024年4月にグループからの卒業することを発表している柏木由紀が、TikTokを中心に活動をしているクリエイター集団『ごっこ倶楽部』のインタビューに応じ、前田敦子や大島優子など“神セブン”メンバーがいた当時を振り返りながら、卒業に向かい“1回そこで人生が終わるくらいの気持ちで最後までやりきりたい”など心境を語った。また、“日常で忘れがちな小さな愛”をテーマにWEBREEN(*)を作り続けているクリエイター集団『ごっこ倶楽部』が、柏木の卒業をテーマにスペシャルショートドラマを制作し、本日3月9日(土)に、第1話が「ごっこ倶楽部」のTikTokおよびXのアカウントにて公開された。

インタビューは2024年1月上旬にSPショートドラマの脚本を執筆するにあたり実施された。『ごっこ倶楽部』の創設者・共同代表で今回のSPショートドラマを監督した多田智が聞き手となり、柏木がAKB48に在籍した17年を振り返った。

柏木由紀、多田智

4月にグループ卒業となる柏木は“AKB48のメンバーとして17年間活動をしてきたので、毎年必ずやってきたこと、毎週のように行ってきた握手会、いろんな音楽番組への出演。そういったことが「本当に最後」になってきていると実感しています。人生の半分以上、AKB48にいるので「AKB48の柏木由紀」じゃない自分をほぼ知らない”と吐露。“AKB48じゃない自分は中学で止まっているので、楽しみなのと不安なのが半々。ただ、「1回そこで人生が終わるくらいの気持ちで最後までやりきりたい、走り抜きたい」という想いが1番強いです”と続けた。

“「そろそろかな、どうしようかな』ぐらいはあったんですけど、私は今回の卒業まで本気でAKB48を辞めたいと思ったことは1度もありませんでした。当たり前ですが自分で決めて卒業するのは初めての経験なので、だんだん卒業する日が近づいてきてその後のことを想像したり、実際に卒業した子たちに「卒業したらどんな感じなのか?」ってのは、けっこう聞いています”と柏木。

“卒業後の日々がどう進むのか検討がつかないんですよね。もちろん、いただいたお仕事は頑張りたいと思っていますが、プライベートに関しては今はやりたいことがあまりなくて。AKB48を卒業したら絶対にプライベートの時間は今より増えると思うので、そこからまた自分の別の人生が始まるんだろうなくらいに思っています”と語った。

また、前田敦子や大島優子など“神セブン”メンバーがいた頃の自分については“総選挙で私は1回目9位、2回目8位。2回とも上位7人が変わらなかったので「神セブン」と言われるようになりました。結局そこに入れなかったのはやっぱり大きかったですね。8位でも十分ありがたいんですけど、7人で雑誌、7人でテレビとかが多くて8位の私は呼ばれない。そこにとんでもなく大きな差がありました。「もう無理、やっぱ全然違う人たちだな。敵わないな」って思いました。神セブンっていうのが強くて7人が圧倒的なAKB48の顔。だから自分がAKB48にいる実感がまったくなかったです”と回顧した。

柏木由紀へのインタビューをもとに脚本が書き下ろされたスペシャルショートドラマの第1話は『ごっこ倶楽部』のTikTokおよびXのアカウントで公開中。第2話は3月10日(日)にAKB48のTikTokおよびXにて公開される。ドラマには、AKB48の若手メンバーが出演している。柏木由紀の卒業シングルとなるAKB48の63rdシングル「カラコンウインク」は3月13日(水)にリリース。<柏木由紀卒業コンサート〜17年間、歩いて来たこの道〜 supported by イモトのWiFi>は、3月16日(土)にぴあアリーナMMで行なわれ、翌3月17日(日)に開催の<AKB48 春コンサート2024 in ぴあアリーナMM>昼の部・夜の部のステージで披露する「カラコンウインク」にも出演予定。

※WEBREENとは

Web+Screenが由来で、縦型動画プラットフォームにおける新たなジャンル。従来の横型でのドラマ表現とは異なり、スピード感のある展開に、BGMやSEなどの音の要素も加え、短い時間の中で、観た人の心を動かす映像表現の新ジャンル。マンガに対するWebtoon、ゲームにおけるソシャゲなど、プラットフォームや人々の行動様式の変化に合わせてエンタメの新ジャンルは登場してきたが、映画・ドラマなどに対してのまったく新しいクリエイティブのジャンルとなることが予想されている。

柏木由紀

神セブンは全然違う人たち。叶わないなって思いました

――卒業を控えて現在の心境は?

柏木:

AKB48のメンバーとして17年間活動をしてきたので、毎年必ずやってきたこと、毎週のように行なってきた握手会、いろんな音楽番組への出演。そういったことが“本当に最後”になってきていると実感しています。人生の半分以上、AKB48にいるので“AKB48の柏木由紀”じゃない自分をほぼ知らない。AKB48じゃない自分は中学で止まっているので、楽しみなのと不安なのが半々。ただ、“1回そこで人生が終わるくらいの気持ちで最後までやりきりたい、走り抜きたい”という思いが1番強いです。

――現メンバーから何か言われていることは?

柏木:

“卒業までに仲よくなりたい。卒コンの時に後輩として泣きたい”とみんな言ってくれます。1人の後輩が言ってたのは、今は遠い先輩として私の卒業を客観視していて、遠くから柏木さん辞めるなって感じていたけど、卒業までにご飯にいっぱい行ったり、めっちゃ仲よくなって、めちゃくちゃ仲よしの友達が辞めちゃうみたいな感情になりたいと。だからご飯に行ったり、LINEグループも無理やり作って、想い出を作ろう、写真いっぱい撮ろうという感じになってくれています。私自身もみんなともっと仲よくなって卒業したいと思っています。

――卒業したメンバーと連絡は取っていますか?

柏木:

“そろそろかな、どうしようかな”ぐらいはあったんですけど、私は今回の卒業まで本気でAKB48を辞めたいと思ったことは1度もありませんでした。当たり前ですが自分で決めて卒業するのは初めての経験なので、だんだん卒業の日が近づいてきてその後のことを想像したり、実際に卒業した子たちに“卒業したらどんな感じなのか?”ってのは、けっこう聞いています。卒業後の日々がどう進むのか検討がつかないんですよね。もちろん、いただいたお仕事は頑張りたいと思っていますが、プライベートに関しては今はやりたいことがあまりなくて。AKB48を卒業したら絶対にプライベートの時間は今より増えると思うので、そこからまた自分の別の人生が始まるんだろうなくらいに思っています。今まではグループを勝手に背負ってたりとか、何をするにもAKB48が最優先でした。それが全部なくなった時に自分ってこういうこと本当にやりたかったんだとか、これが好きだったんだみたいなことに気づいて、すごくアクティブに動いている人が卒業したメンバーは多い印象です。私は旅行に行った経験がほとんどなくて、海外にプライベートで行ったことは1度もありません。そんなレベルなので、時間に余裕ができて初めてやれることがたくさんあるんだろうなと思っています。ジムに通うとかも今は仕事のために体力を温存しようって常になっていましたから。

――神セブンと当時の自分について教えてください

柏木:

総選挙で私は1回目9位、2回目8位。2回とも上位7人が変わらなかったので“神セブン”と言われるようになりました。結局そこに入れなかったのはやっぱり大きかったですね。8位でも十分ありがたいんですけど、7人で雑誌、7人でテレビとかが多くて8位の私は呼ばれない。そこにとんでもなく大きな差がありました。“もう無理、やっぱ全然違う人たちだな。叶わないな”って思いました。神セブンっていうのが強くて7人が圧倒的なAKB48の顔。だから自分がAKB48にいる実感がまったくなかったです。それが高校3年生、18歳とか19歳の頃です。それでも8位だったのでメディアに出る機会は増えて、なんとか落ちないための工夫はしていました。そして次の総選挙で3位になったんです。みんなに比べて私は知られていないから“なんで3位?”みたいな感じでした。どこに行ってもそうやって見られている気がしましたし、テレビに出ても3位だけど話を振られることは少なくて。MCさんにとっても私よりほかの先輩の方が単純に知名度があったので仕方ないんですよね。3位になったらなったでけっこうしんどくて、新しい場所でのやり方がわからないし難しい。めっちゃ頑張って受験勉強して上に行ったけど、そのクラスではビリになっちゃったみたいな感じ。テレビに行くと居場所がなくて下を向いてしまうこともよくありました。今は自分から話したり明るくできたりしますが、当時は全然しゃべれなくてめちゃくちゃ静かだったんです。楽屋とかでも隅っこの方で同期の子と2人で縮こまってるみたいな。先輩とも話せなくてけっこう陰の方だったので。先輩に言われたとかではなく自分たちで縮こまってましたね。同期の子としゃべっているのを先輩に聞かれるのも遠慮して、隅っこで静かに携帯をいじってました。自分からはしゃべれなかったので、なんとか先輩と仲よくなって先輩にいじってもらうようにしました。今の時代はよくないのかもしれませんが、服が個性的とかしゃべらないとかいじられるようになって、そこからちょっとだけ自分の居場所が見つかった感覚です。いじられることは嫌じゃなかったです。いじられてでも自分の居場所、ポジションがAKB48の中にあることが嬉しかったです。

――いろんな方の卒業はどんな気持ちで見送ってきた?

柏木:

単純にすごいなと思って見ていました。自分がまだAKB48のあとにある将来を何も考えられていない状況で、毎日楽しいなと思っている時に後輩が“女優になりたい”“自分の夢を見つけました”と言って辞めていく。その姿はすごいなと思うし、自分は大丈夫なのかなとかもちょっと思ったり。その分、後輩や同期を見送るたびに、次に進んでいくんだなとカッコよく見えていましたね。

――卒業後はどんな柏木由紀でありたい?

柏木:

AKB48を卒業しても常に話題の中にいる人、名前が出るような人でいたいとは思っています。何かと話題になったり、柏木由紀を見ていたいなというか、追っていきたいなって思ってもらえて、応援していて元気になる存在でありたいです。そして、アイドルの活動は好きなので、ファンの方の前で歌ったり踊ったりはずっと続けていきたいですね。ここまで長くいましたしお世話になったので、ずっと“AKB48の柏木由紀”と言われるのも嬉しいです。今はいろんなアイドルの形があると思うので、結婚したり、子どもができたり、ネガティブになったり、悩んだりもするし、愚痴を言っちゃうことがあっても、それを隠さない。どんな私を見せても、なんだかんだで柏木由紀は“アイドルだよね”“結局アイドルっぽいね”と言われ続けるのが理想です。

ごっこ倶楽部とは

2021年5月に結成した“日常で忘れがちな小さな愛”をテーマにWEBREENを作り続けているクリエイター集団。分業が主流の日本のドラマ制作に対し、スタジオドラゴンが行なう世界基準の制作スタイル(脚本、撮影、編集、投稿、マーケティングまでをワンチームで行なう)を取り入れ、さらには視聴データの分析から改善までもすべて自社内で行なっている。これまで制作・投稿した動画は770本、累計再生数は19.5億回(2024年1月時点)を超え、2023年11月には単月の月間累計再生数が2億回を突破。再生数、フォロー数、いいね数においてショートドラマカテゴリーの中で日本No.1。これからの時代のドラマ表現のあり方を世の中に提示し続けているクリエイター集団。

© JAPAN MUSIC NETWORK, Inc.