【非課税世帯の悩み】共働きですが世帯年収はギリギリ「非課税世帯」です。収入を増やして「課税世帯」になったほうがよいでしょうか?

住民税非課税世帯の条件

住民税が非課税になるか否かは、住んでいる地域によって異なります。
また住民税には、所得割と均等割の2種類があります。

所得割は、前年の1月1日から12月31日までの所得に応じて算出されて、所得額の10%(道府県民税4%、市町村民税6%、政令指定都市は道府県民税2%、市民税8%)とされています。
均等割は、所得額にかかわらず、一律で5000円(道府県民税1500円、市町村民税3500円)です。
なお、2014(平成26)年度から2023(令和5)年度までの10年間は、道府県民税と市町村民税ともに500円ずつ引き上げられています。

地域によって、住民税が非課税となる条件は異なりますが、東京都23区の場合では、以下のいずれかに該当する方が対象です。

__●生活保護法による生活扶助を受けている方
●障害者、未成年者、寡婦またはひとり親のいずれかに該当し、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
●前年中の合計所得金額が、表1にあてはまる方__

表1

※東京都主税局「個人住民税 6 個人住民税の非課税」を基に筆者作成

東京都23区では、3つの条件のいずれかにあてはまる方が住民税非課税に該当します。

住民税は、基本的に個人単位での支払いになるため、非課税世帯かどうかは、夫婦別々に計算する必要があります。
まずは、自分が住んでいる地域の条件を確認してみましょう。

【共働き夫婦の場合】住民税非課税世帯の年収目安

ここでは東京都23区を例に、住民税非課税世帯(所得割・均等割がともに非課税)の年収の目安を計算してみましょう。
なお、反映される所得は前年度分です。

今回は、共働き夫婦(前年度の合計所得:夫60万円、妻45万円)を想定して計算します。
お互いの前年度所得によって計算方法が変わるため、注意してください。

まずは、同一生計配偶者または扶養親族がいるかどうかを確認しましょう。
同一生計配偶者とは、納税義務者と生計を一にする配偶者のうち、前年度の合計所得金額が48万円以下の方を指します。

では実際に、夫の非課税目安年収を計算してみましょう。
妻は夫の同一生計配偶者にあたるため、35万円×2+31万円となり、所得101万円以下であれば、非課税に該当します。

一方妻は、同一生計配偶者および扶養親族がいないことになりますので、所得45万円以下であれば非課税対象です。

次は、上記の所得を年収に換算してみましょう。

所得とは、給与収入から給与所得控除を引いた額です。
会社員の場合、給与収入の金額が年間162万5000円までは、55万円が控除されます。
こちらも給与収入によって控除額が変わるため注意しましょう。

夫の場合は101万円に給与所得控除の55万円を足して、非課税年収の目安は156万円になります。
同じように計算すると、妻の年収の目安は100万円となります。
世帯年収の目安は、およそ256万円になるでしょう。

二人以上世帯の平均支出額

実際に今回のケースにおける住民税非課税世帯の年収でやりくりしていけるのか、二人以上世帯の平均支出額を確認してみましょう。

総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)」によると、二人以上の勤労者世帯における月の消費支出額は、平均32万627円とのことです。

上記の支出額を年間で計算すると384万7524円となり、先ほど計算した共働きの非課税世帯の年収256万円では、赤字になってしまいます。
ただし、家庭によって非課税になる所得の上限は異なりますので、自分たちの目安年収を確認することが大切です。

住民税が非課税になれば、経済的負担の軽減になりますが、生活費が足りなくなるおそれがあります。
この場合には、収入を増やすことを検討したほうがよいでしょう。

年収を上げて課税世帯になったほうが将来は安心

今回のケースでは、共働き夫婦が住民税非課税となる年収はおよそ256万円以下とのことが分かりました。
二人以上の勤労者世帯の平均消費支出は年間384万7524円であり、上記の年収では足りません。

住民税が非課税になる収入では日々の生活が苦しくなり、将来のために貯蓄することは難しくなるでしょう。
老後の備えや、将来子どもが生まれたときのことを考えると、昇給や転職などで収入アップを目指すほうがよいかもしれません。

出典

総務省 個人住民税 均等割と所得割
東京都主税局 個人住民税の概要 6 個人住民税の非課税
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国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.1410 給与所得控除
家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要 図I-2-8 二人以上の世帯のうち勤労者世帯の家計収支-2022年-(12ページ)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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