災害用簡易トイレ備蓄、島根県内の全19市町村「不足している」「目標数見直し必要」 能登半島地震受け認識

 災害時の初期対応として備蓄する簡易トイレを巡り、島根県内の自治体で目標を設けて備蓄している県と13市町のうち、目標に達しているのは県と7町にとどまることが山陰中央新報社の調べで分かった。目標を検討中または設けていない6市町村を含め、トイレ確保の課題が浮き彫りになった能登半島地震を受け、さらなる備蓄や目標の見直しが必要との声が上がる。 

 島根県は災害の最大被害として、島根半島沖合断層による地震(マグニチュード7.7、冬季の午後6時発生)を想定。備蓄物資整備計画で、トイレなどの生活必需品は県と市町村で各0.5日分の計1日分、各家庭で1日分を備え、3日目以降は自衛隊や県外から調達すると定めている。

 簡易トイレは、県は避難所1273カ所の開設を見込み、このうち3分の1での確保を目標(425個)に掲げ、プラスチック段ボール製の組み立て式を備蓄済み。市町村は想定避難者数などを基に13市町がそれぞれ目標を設定し、奥出雲、飯南、川本、吉賀、海士、西ノ島、隠岐の島の7町で達し、大田、益田、江津、安来、雲南の5市と邑南町は下回っている。

 松江、出雲、浜田の3市と美郷、津和野両町は、協定を結ぶ企業や県外の自治体などからの仮設トイレやトイレカーの貸し出し、簡易トイレの供給を勘案する必要があるとして、目標を検討している。知夫村は目標を設けていない。

 トイレの確保が課題となった能登半島地震を受け、島根県内の全19市町村が「不足している」「(目標数の)見直しが必要」との認識を示した。

 鳥取県は最大被害として鹿野・吉岡断層による地震(マグニチュード7.4、冬季の午後6時発生)を想定。連携体制整備要領で、生活必需品を県と市町村で連携して1日分、2日目以降は民間事業者などの支援で対応し、各家庭でも最低3日分備える必要があるとしている。

 簡易トイレは、災害時に下水道の被害を受ける想定人数3万3千人のうち50人に1個が必要として660個の目標を設定。市町村分は568個で人口に応じて各市町村の目標を掲げ、全19市町村が達している。県は県分として92個を確保するほか、2024年度一般会計当初予算案でトイレカー2台の購入費4千万円を計上した。

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