平安貴族の菓子再現 平泉で調理体験

完成したつばきもちと器に入れたいもがゆを盛り付ける参加者

 平安時代に貴族が食べていた菓子作りを体験する「平安スイーツ大作戦~あなたも平安パティシエになろう!」は9日、平泉町平泉字毛越の浄土の館で開かれ、参加者が源氏物語と今昔物語集に登場する「つばきもち」と「いもがゆ」を再現した。

 2回目の10日と合わせて13人が申し込み、初日は町内外から5人が参加。講師は奈良女子大協力研究員で「古典がおいしい!平安時代のスイーツ」著者でもある前川佳代さんが務め、前川さんが当時の書物に残された記述を参考に再現したレシピで調理が行われた。

 菓子作りに欠かせない砂糖は当時稀少だったことから、平安時代に使われていたツタの樹液を煮詰めた甘味料の甘葛(あまづら)を使用した。つばきもち作りでは、蒸した米を干して粉状にした道明寺粉に、水を混ぜて加熱し蒸らした後、甘葛を使ったシロップを混ぜ合わせて団子状に成形、2枚のツバキの葉で挟んで仕上げた。

 いもがゆは、薄く切った町内産の自然薯(じねんじょ)を甘葛を入れた汁で丁寧にあくを取り煮詰めながら味付け。どちらも柿渋で赤く着色した甘葛も使うことで鮮やかな紅白の菓子にし、最後に全員で試食した。

 前川さんからは、光源氏の邸宅で公達が蹴鞠(けまり)を楽しんだ後の場面につばきもちが登場する話も行われ、梅村哲子さん(48)=花巻市=は「想像していたよりも素朴で洗練された味わい。平安時代の人たちが食べていたことを想像すると楽しくなる」と語った。

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