「相手のショックを上手く利用でした」なぜ神戸はFC東京戦で逆転できたのか。酒井高徳の見解「前節の柏戦と違って…」

2024年3月9日、FC東京に先制された直後、ヴィッセル神戸の酒井高徳は「(小泉慶のシュートについて)うわっ、止めることができた」と反省していた。小泉のシュートを完璧にブロックできずゴールを許してしまったことを悔やんでいたが、チーム全体が落ち込む様子はなかった。酒井は言う。

「僕はブロックできず、それに浸っていたというか、『うわっ、止めることができた』と思っていましたが、チームはネガティブじゃなかった。失点後にどよーんとした感じがあった前節の柏戦と違って、そういうのがなかった点はよかったです。追いついた後はもう1点取りにいく、ホームでもないのに勝ちに行く“気”を出せたのも良かった。相手のショックを上手く利用できた」

この試合、立ち上がりからゲームの流れを掴んでいたのは神戸だった。PK失敗、しかも後半に先制されても慌てず、冷静に戦えていた点で、神戸はタフなチームに映った。酒井の次のコメントからも、それは窺える。

「先制されてもやることを変えずにアグレッシブにプレーできた。チャンスはあったし、良いメンタリティで戦えたと思います」

ちなみに、エースの大迫勇也もFC東京戦の最大の勝因をこう話していた。

「0-1になってからのリアクションが素晴らしかった。チームとしてもう一回パワーを出せましたし、それが最大の勝因だったと思います」

前節の柏戦の敗戦を受けて、酒井はDF陣に「同じ失敗をしないように」と伝えていたという。昨季リーグ戦では一度も連敗をしなかった。その経験が今季の戦いにも活きているようだ。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

© 日本スポーツ企画出版社