65歳で定年退職したら「失業保険」がもらえないって本当?受給条件や注意点を解説

65歳以上で退職した場合は「高年齢求職者給付金」

65歳で定年退職をした方の中には、再就職を検討している方もいるでしょう。

年金だけでは老後の生活費が心配な場合、仕事を続けるのはひとつの選択肢となります。

退職後といえばいわゆる「失業保険」がもらえますが、実は65歳以降に定年退職をした場合はもらえないということをご存じでしょうか?受給するには条件を満たしている必要があります。

失業保険を申請する際に「知らなかった!」とならないように、受給条件や注意点などを確認しておきましょう。

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定年後に失業保険をもらうための3つの条件

定年退職後に失業保険をもらうには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

定年後に失業保険をもらうための3つの条件
  • 就職の意志や能力があるが現在失業中である
  • 離職日以前2年間に被保険者期間が通算12ヵ月以上ある
  • 定年退職日が65歳誕生日の前々日より前である

これらの条件をすべて満たしていれば失業保険をもらえます。では、それぞれの詳しい条件を確認していきましょう。

就職の意志や能力があるが現在失業中である

定年退職をしてから、現在失業中であることが条件となっています。なお、「失業」とは以下の状態にあって、就職ができない状態のことを指します。

  • 求職の申し込みをしている
  • 就職に対して積極的な意思がある
  • いつでも就職できる能力がある

そのため、以下のようなケースでは失業に該当せず、失業保険をもらえません。

  • 定年退職後は当面の間休養しようと考えている
  • 病気やケガで就職できない
  • 起業している(準備中も含む)
  • 企業の役員になっている

離職日以前2年間に被保険者期間が通算12ヵ月以上ある

定年退職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が原則として通算12ヵ月以上あることが条件です。

なお、被保険者期間とは、雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1ヵ月ごとに区切っていた期間に11日以上勤務している、または、賃金を支払った時間数が80時間以上ある月を1か月として計算します。

通算なので、必ずしも連続している必要はありません。

定年退職日が65歳誕生日の前々日より前である

定年退職日が65歳の誕生日の前々日よりも前である、ということも重要なポイントです。

民法および「年齢計算ニ関スル法律」では、日本の満年齢の数え方は誕生日を1日目とすることが決められています。つまり、誕生日の前日に満65歳を迎えるわけです。

次章で詳しく解説しますが、65歳を超えてしまうと失業保険の対象から外れ、「高年齢求職者給付金」の対象になります。

失業保険をもらうには、65歳になる前、つまり65歳の誕生日の前々日までに退職している必要があるのです。

65歳以上で定年退職した場合は「高年齢求職者給付金」

65歳以上に定年退職をした場合は、高年齢被保険者を対象とした「高年齢求職者給付金」が受給できます。

【受給できる条件】

高年齢求職者給付金を受給するには、以下の3つの条件をすべて満たしている必要があります。

高年齢求職者給付金の受給条件
  • 離職日以前の1年間に、被保険者期間が通算6ヵ月以上ある
  • ハローワークに求職申し込みをしている
  • 現在失業中である

なお、「失業中」とは、失業保険のところでも触れたように、求職の申し込みをしており就職に対して積極的な意思や能力がある状態を指します。

そのため、家事や学業に専念する方や起業している方、次の就職先が決まっている方は対象外です。

【支給額】

高年齢求職者給付金は「基本日額×所定の日数」で計算された金額が支給されます。

基本日額とは、離職日以前の6ヵ月において毎月支払われた賃金の合計を180で割った金額の5割〜8割程度の金額となります(上限額・下限額あり)。

「所定の日数」は、加入者の被保険者期間に応じて以下のように決められています。

高年齢求職者給付金

なお、高年齢求職者給付金は一時金で支給されます。公的年金との併給調整は行われないため、受給しても年金が減らされることはありません。

失業保険と高年齢求職者給付金の違い

失業保険と高年齢求職者給付金は、どちらも退職した後に受給できるものですが、どのような違いがあるのでしょうか。具体的な違いを下表にまとめました。

失業保険と高年齢求職者給付金の違い

まとめにかえて

65歳未満に定年退職をした場合は失業保険の受給対象になりますが、65歳以上の場合は高年齢求職者給付金の受給対象になります。

それぞれ受給要件が決められているため、内容を理解したうえでどちらを選択するのかを決めることが大切です。年金との併給が可能かどうかも異なるため注意しましょう。

参考資料

  • ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
  • 民法| e-Gov法令検索
  • 年齢計算ニ関スル法律| e-Gov法令検索
  • 厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」
  • 高年齢求職者給付金はこんな制度です!
  • ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
  • 日本年金機構「年金と雇用保険の失業給付との調整」

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