『新空港占拠』“駿河姉妹に関わる事件”の真相 大河率いる“ケダモノ派”との最終決戦へ

3月9日放送の第9話で、いよいよ最終局面へと突入した『新空港占拠』(日本テレビ系)。前回のエピソードのラスト、指揮本部の情報分析官・岩槻(白石聖)が獣たちの仲間のひとり=“犬”であることが判明。彼女が武蔵(櫻井翔)のインカムに仕掛けた爆弾は、空港で人質にとられている二葉(奥貫薫)が30年前の兄・健一(本多遼)の失踪事件の真相を話さなければ爆発してしまう。これまでのように捜査で答えにたどり着くのではなく、誰かに“知っていることを話してもらう”。それができなければ爆死というシチュエーションは、前作『大病院占拠』(日本テレビ)での第7話の展開と通じている。

また、指揮本部内という身近なところに敵が潜り込んでいたという点も、『大病院占拠』で武蔵のバディだった相模(白洲迅)が鬼の仲間=紫鬼であったことと同じ流れだ。もっとも、そうした前例があるため、警察内部に獣の仲間がいるとなったときに真っ先に視聴者から疑いの目が向けられたのは今作でバディを組む本庄(瀧内公美)のほうであっただろう。そこは前作とは違うパターンになったとはいえ、よくよく考えてみれば岩槻のポジションは前作で駿河紗季(宮本茉由)のいたところ。ある意味、至極当然の流れだったのかもしれない。

ここにきてサプライズ感よりも重視されたのはおそらく、岩槻と獣たちの繋がりのほうだ。駿河から渡された偽IDでKSBCの分析官として指揮本部に潜り込んだ彼女の正体は、虎=丹波一樹(平山浩行)の義妹。つまり、川越(片桐仁)に殺された丹波の妻の妹ということだ。必然的に丹波とその息子である猿=直樹(岩瀬洋志)と同一の目的で獣に加わっているわけで、この占拠の背景にある――獣たちを結びつけた事件は丹波の妻の死、新見百花の死、そして漁師の浜松の死の3つと、主犯格たる駿河姉妹に関わる事件ということが確定する。

そうした流れで明らかにされた“駿河姉妹に関わる事件”は、やはり健一の失踪のことであった。市役所の土木課に務めていた健一が、“初代山猫”である陸奥哲夫と北見(手塚とおる)が関与していた道路建設に関わる不正に気付き、それを告発しようとしていたこと。当時北見の秘書だった二葉を通して直訴しに行ったところ、健一は北見に殺害され、二葉は口止めをされていたこと。そして、健一の恋人だった女性がその時身ごもっていたのが悠月(高橋メアリージュン)と紗季の双子の姉妹であったということ。要するに、龍と蛇は武蔵にとって姪にあたる存在だったわけだ。

そして獣たちの素性が明らかになった後半で、一気に物語が動く。ついに空港建設それ自体にまつわる「Mプロジェクト」(第7話で鼠=大河が開いたデータに記されていたものだ)という言葉とその詳細が登場し、録画映像での配信の隙に脱出を試みる獣たち。しかしそこに大河(ジェシー)が現れ、悠月たち“ケモノ派”と大河の考えに賛同する“ケダモノ派”の対立が加速。“ケダモノ派”に捕えられた紗季とそれを追う悠月以外の“ケモノ派”はSATによって制圧されたので、最終話で武蔵は極めて凶暴な“ケダモノ派”との最終決戦に挑むということか。
(文=久保田和馬)

© 株式会社blueprint