開幕3試合で未勝利のFC東京、昨季後半戦からの上積みはあるのか。何より深刻なのは…【コラム】

シーズン開幕前、いずれも優勝候補の広島、神戸と戦うホーム2連戦がリーグ制覇への大きな鍵になると予想していた。ここで連勝できれば覇権奪取の可能性は高まるし、逆に白星がなければ自信を失う恐れがあると、勝手にそう考えていたのだ。

結果、C大阪とのリーグ開幕戦を含め3戦未勝利。果たして、昨季後半戦からの上積みはあるのかと、1-2と逆転負けを喫した神戸戦後に記者席でそう思った。

神戸戦の前半は正直、厳しかった。4-2-3-1システムで臨んだFC東京は、立ち上がりから押し込まれる展開に。流れを掴めないまま、5分には森重のハンドでPKを献上している。このPKは大迫の失敗で失点にならなかったが、以後も主導権はなかなか握れなかった。

マテウス・トゥーレルのマークに苦しんだD・オリヴェイラにボールが収まらず、サイドから打開しようとしても思うように突破できない。セットプレーにやや可能性を感じたものの、結局、前半は決定機がゼロ。ファン・サポーターもフラストレーションを溜める45分間だったのではないか。

後半に入り小泉のゴール(50分)で先制したものの、57分に宮代のヘッドで追いつかれると、その後も攻撃の形はなかなか作れない。ビルドアップもままならず、1-1で迎えた74分、大迫にFKを決められてしまった。

どういうコンセプトで組み立て、崩すのか、そこがボヤッとしているように映る。攻撃サッカーを展開したいという大枠は分かるが、肝心の中身が昨季後半戦から見えてこないのだ。もっとも、荒木や遠藤ら新戦力が加わったばかりなので、攻撃の構築にはもうしばらく時間がかかるのかもしれない。

とにかく、今季のFC東京は攻守のバランスがここまで良くない。

何より深刻なのは守備か。開幕3試合で計5失点。これは今季J1の20チーム中ワースト4位タイの成績だ。良いディフェンスをしなければ良い攻撃には繋がらないし、そもそも点を取っても守れなければ試合には勝てない。とりわけ心配なのが、サイドからあっさり崩されるケースが目に付く点である。

開幕3試合を終えて16位(3月9日現在。10日に18位・浦和と19位・札幌の試合がある)。まだ序盤戦とはいえ、危機的状況にあるのは間違いない。ここからの巻き返しに期待したいが、果たして。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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