車両事故の「約3割」が駐車場で発生…意外と多い「駐車場での事故」未然に防ぐ方法は? 専門家が解説

TOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」内でお送りしている「JA共済 presents なるほど!交通安全」。今回のテーマは、「駐車場での事故」について。日本自動車ジャーナリスト協会会長で日本自動車連盟(JAF)交通安全・環境委員会委員の菰田潔(こもだ・きよし)さんに、駐車場での事故を防ぐ方法、歩行者側が気を付けるべきポイントを伺いました。

※写真はイメージです

◆意外と多い!? 駐車場の事故

車のスピードがあまり出ない駐車場は、一見安全そうな場所だと思いがち。しかし実は、走行距離換算では事故が起こりやすく危険な場所です。菰田さんは「損保協会(日本損害保険協会・東北支部)のデータによると、車両事故の約3割は駐車場で起きています。内訳は駐車場内の施設物との接触が3割で、道路上の事故が7割です」と解説します。

公益財団法人交通事故総合分析センターの発表によると、2021年の駐車場での事故数は15,100件にのぼりました。内訳は以下の通りです。

車両相互の事故:9,384件
人対車両の事故:4,641件
車両単独事故:1,075件

さらに菰田さんは、運転時の注意点を駐車場のタイプ別で紹介します。

◆「平面式の駐車場」の場合

駐車スペースの出入りでは、通路を走る車との接触に注意。駐車場内のスピードは“ゆっくり”が基本です。

◆「大型スーパーなどの駐車場」の場合

トランクに荷物を詰めやすいように前から停める車が多いため、バックで駐車スペースを出る際、通路を走る車とぶつかる可能性が高いです。クロストラフィックアラート(左右に接近した車両を検知して注意喚起する機能)が搭載されている車であっても、車や歩行者が来る想定で慎重に運転しましょう。

◆「立体駐車場」の場合

外側を走る車が内輪差で内側に寄る影響で、上り下りの通路のカーブが狭く感じやすくなるため、走るスペースがどれくらいあるのかを確認しながら運転しましょう。相手車両が見えないうちからヘッドライトを点灯させて、対向車が来ることを気付かせるのも重要です。

また、駐車料金を支払う際も「Dレンジを入れて、ブレーキペダルを押さえたまま無理に手を伸ばすと、足が外れて(車が)進んでしまうケースがありますので、(駐車料金の支払い時は)Pレンジに入れるか、エンジンを止めて操作してください」と注意を促します。

◆運転免許を持っていない人に教えることも大切

続けて、歩行者側が注意すべき点についても言及。菰田さんによると、車と接触する歩行者は運転免許証を持っていない人が多いと言い、「免許を持っていれば、例えば、車の後ろ側の白いランプが“バックアップランプ(後退することを周囲に知らせる照明)”だと分かりますが、持っていない方は(前か後ろ)どっちに動くのか分からないんですね」と説明。

また、歩行者からは車を認識しやすいものの、運転席からは歩行者が見えていないケースも少なくありません。「(歩行者を)確認しているかは、ドライバーの顔を見て判断します。(自分目線で)ドライバーの顔が見えないところにいるときは“ドライバーは自分が見えていない”と考えて、安全な場所に移動しましょう」と菰田さん。免許を持たない高齢者や子どもを家族に持つ人は“車の後ろ側の白いランプが点いているときは後方を通らない”などと、教えることも大切です。

意外と多い駐車場での事故。運転手は注意を怠らず、安全運転での駐車を心がけましょう。

<番組概要>
番組名:JA共済 presents なるほど!交通安全
放送日時:毎週金曜 7:00~7:27
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/koutsu/

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