【10年ひと昔の新車】ビッグマイチェンでレガシィの2.5Lエンジン搭載車は、どう進化したか

「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回も、前回に続きビッグマイナーチェンジされたスバル レガシィだ。

スバル レガシィ ツーリングワゴン(2012年:5代目ビッグマイナーチェンジ)

ボンネットにターボ車のようなエアインテークは付かないが、顔つきはほとんど変わらない。全長はセダンより45mm長い。

に続き、今回は2.5Lエンジンを搭載したツーリングワゴンに試乗してみた。グレード名は変わらなかったが、2.5L NAモデルも中身は大きく変わった。ボディや足まわりに手が加えられたのはDIT(直噴ターボ)車とほぼ共通(チューニングは異なる)で、エンジンやCVTも従来型とは別物になった。

かんたんに説明すると、エンジンは従来型のEJ25型から低中速トルクを重視したロングストローク仕様のFB25型となり、リニアトロニックCVTも現行インプレッサ用をベースとする軽量高効率タイプとなる。

まずは乗り出してみると、低中速域のトルクが十分に確保されており、しかもレスポンスも良く運転しやすい。SIドライブを「i」にセットしても物足りない印象はない。加速は穏やかになるが出足はいいので、市街地走行でもストレスを感じない。高速道路やワインディングロードの上りでは、さすがに「i」ではストレスを感じるだろうと予想したのだが、意外やそうでもなかった。加速したい時は、ちゃんと加速してくれる。リニアトロニックの制御も文字どおり「リニア」で良い。「i」でもそうなのだから、「S」や「S#」にセットすると、期待どおり加速力が上乗せされる。

今回の試乗車はSパッケージだったので、ビルシュタイン製ダンパーや18インチのタイヤが与えられているが、DITと同じく一体感のある走りが気持ち良い。操舵力は軽いが適度な反力を持ち、しっかり感のあるステアリングも好印象だ。ワゴンはセダンに比べるとリアの重さを感じるのは否めず、また乗り心地にも若干硬さを感じるのだが、おそらくもっと多人数で荷物を積んだ時にちょうど良くなるのだろう。DITほど硬くなく、どこでもオールラウンドに走れ、そこそこスポーティムードも味わえる。その意味では、この2.5LのほうがDITよりも万人向けと言えるだろう。

FB25型エンジンは新リニアトロニックCVTとの組み合わせで、好レスポンスの加速と優れた燃費性能を両立。

2L ターボと2.5L NA、どちらを選ぶ?

試乗車はビルシュタイン製ダンパーや18インチタイヤを装着したSパッケージなので、より一体感のある走りが気持ち良かった。

ビッグマイチェンされたレガシィのパワーユニット、2LターボのDITと2.5Lの自然吸気(2.5i)、どちらが良いだろうか。まず前提として、DITはまだアイサイトが組み合わせられない(編集部註:2012年5月の時点)ことと、けっして小さくない価格差を考慮しないで、純粋にどちらがどう好きか(良し悪しではない)を述べたい。

率直なところ、走りを楽しみたいのならDIT、乗りやすさを重視するなら2.5iといったところだろうか。DITはパワフルで、しかも燃費もいい。このエンジンは、きわめて出来が良い。乗り心地は少々硬めだが、走るのが好きな人には許容範囲にあるだろう。ハイウエイクルージングは気持ち良いし、しかも安心感もある。

基本的には足としてクルマを使う、という人には、むしろ2.5Iをオススメする。乗りやすさという点では、DITより2.5iのほうが格段に上だ。しかも、動力性能にも不満はないし、走りも悪くない。ある程度は走りにこだわりたいけれど、普段使いを重視したい、というのなら、DITほど足も硬くないし、走りにも十分な資質のある2.5iで十分だろう。

もちろん、セダンのB4でもツーリングワゴンでも、2Lターボと2.5L 自然吸気のどちらのエンジンも選べる。

●全長×全幅×全高:4790×1780×1535mm
●ホイールベース:2740mm
●車両重量:1560kg
●エンジン:対4 DOHC
●総排気量:2498cc
●最高出力:127kW(173ps)/5600rpm
●最大トルク:235Nm(24.0㎏m)/4100rpm
●トランスミッション:CVT(リニアトロニック)
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・65L
●JC08モード燃費:12.4km/L
●タイヤサイズ:225/45R18
●当時の車両価格(税込):300万3000円

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