欲に負ければ「最悪の結末」が待っている…個人投資家が「無謀な売買」をしないために守るべき鉄則【株式投資のプロが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

有り金をすべて株式投資につぎ込んでしまったり、焦って高値掴みをしたりと、株式投資において「欲に負ける」ことは百害あって一利なしです。そこで本稿では、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏が、「欲に負けて無謀な売買をしないための対策」について解説します。

株式投資は「余裕のあるお金」と「時間」で行うものだと認識する

まず、株式投資は余裕のあるお金と時間で行うものだと認識することが重要です。逆に、お金と時間に余裕がないのに、「できるだけ早く・多くお金を増やしたい」「儲けている人がいるらしいから、自分もそれ以上に儲けたい」などと株式投資にのめり込んでしまうと、無理が生じて、結局は無謀な売買をすることになりかねません。

同じ運用利益率ならば、元手となる資金の多い人のほうが、利益の額は大きくなります。また、株式投資のための勉強や研究、調査に時間をかけられる人ほど、その成功確率は上がるでしょう。

自分にお金と時間がないと思えるならば、株式投資をしない、または、したとしてもあまりのめり込まないほうが賢明です。それなのにのめり込んでしまうから、無謀な売買をすることになるのでしょう。

お金と時間がない場合は、後述しますが、「株式投資以外の方法で稼ぐ」、あるいは「倹約してお金を余らせる」とう選択をしたほうが、ローリスク・ハイリターンとなるはずです。

株式投資の結果は「運」にも左右されるものだと認識する

また、株式投資の結果は運にも左右されると認識することも重要です。

株価が上がるのは、「売り手より買い手が多くて、需要と供給の関係で価格が上がる」からです。つまり、他の人が買おうとしない限り株価は上がらないものなのです。そして、他の人が買おうと思うか、いつ思うか、どの程度の人が、どの程度の期間そう思い続けるかも、自分ではコントロールできません。

それを認識しておけば、無謀な売買をしてすべてを自分の意のままにしようとすることが、無駄だということがわかるのではないでしょうか。

いろいろな投資手法がありますが、何をしても最終的には「あとは運任せ」という状況になるのが株式投資です。どんな投資手法を駆使しても、すべてを自分の意のままにコントロールすることは不可能なのですから、無謀な売買をしてわざわざリスクを大きくする必要はないのです。

株式投資以外の方法で稼ぐ

株式投資にすべてを懸けず、株式投資以外の方法で稼ぐこともまた、「欲に負けて無謀な売買をしないための対策」のひとつとなりえます。要するに、お金が欲しくて、早く、多く利益を出したいと思うから、無謀な売買をしてしまうのでしょう。しかし、株式投資以外の方法でお金が稼げるならば、精神的な余裕も生まれるはずです。

そもそも、多くの個人投資家はほかに本業を持っていると思われますので、本業での収入を増やすことや、新たな副業を始めることで、株式投資にも余裕を持って向き合えるようになるのではないでしょうか。

ちなみに、3,000万円を年に10%で運用すると年収は300万円になりますが、運用資金が3,000万円ある人も、年に10%で運用し続けられる人も、年収300万円で満足できる人も、多くはないでしょう。

株式投資だけで生活することのほうが、多くの人にとっては難しいのかもしれません。

倹約してお金を余らせる

また、株式投資以外の方法で稼ぐとともに、倹約をしてお金を余らせることも、「欲に負けて無謀な売買をしないための対策」のひとつとなりえます。稼ごうが、倹約しようが、お金が残るという点は同じです。そしてその現実が、株式投資で早く・多く利益を出したいと焦る気持ちを抑える要因となるのではないでしょうか。

運用資金の大きさによりますが、たとえば株式投資で年に30万円稼ぐのが大変な人もいるはずです。銘柄選択や売買のタイミングを計る技術も必要ですし、前述のとおり運も必要です。

しかし、旅行に行くことや、頻繁な外食を我慢すれば、稼がなくてもお金は残ります。そうすれば、無謀な売買をしようとも考えなくなるのではないでしょうか。

無謀な売買をしないためには「焦らないこと」が大切

ここまで解説したとおり、株式投資は余裕のあるお金と時間でおこなうものだと認識すること、株式投資の結果は運にも左右されると認識することが重要です。そして、株式投資にすべてを懸けず株式投資以外の方法で稼ぐことや、倹約をしてお金を余らせることも、その対策となります。

欲に負けて最悪の結末を迎えることのないよう、早く、多く儲けようという気持ちをコントロールし、焦らないことを意識しましょう。

川合 一啓
株式会社ソーシャルインベストメント
取締役CTO

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