「白人限定」パーティーを企画、スリランカのロシア料理店に批判殺到→政府は無料の長期ビザを廃止

ロシアによるウクライナ侵攻から2年が経過する日に、ロシア人限定のパーティーを開催しようとしたスリランカのロシア料理店に批判が殺到。経営者が謝罪した。

スリランカ南部、人気のリゾート地ウナワトゥナにあるロシア料理店「Sarayka Lounge」は、2月24日に「ホワイト・オープニング・パーティー」と題したイベントを開催予定だった。

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ウナワトゥナビーチ

フライヤーには「白」のドレスコード指定と、「フェイス・コントロール:白(人)」という記載があったという。SNSで拡散され、批判の的となった。

フェイス・コントロールとは、高級バーやナイトクラブなどの入り口で客の容姿や身なりをチェックし入場を制限する慣習を指すが、今回の注意書きは「白人限定」を表すものだとして非難されている。

開催日がウクライナ侵攻が始まった日と重なる点も、侵攻を「記念」していると怒りの声があがった。

店はパーティーの開催を中止し、謝罪文をインスタグラムに掲載した。

Instagram: @sarayka_lounge

「申し訳ありません! 土曜に開催を予定していたパーティーは、中止とさせていただきます。パーティーを企画した主催者とも関係を絶ちました。弊社はバーであり、様々なイベントに会場を提供しております。今回は、チェックが十分ではありませんでした。私たちは、さまざまな人種差別的な発言や団体を一切支持していませんし、今後も支持することはありません」

BBC によると主催者側は、イベントはスリランカ居住の外国人を集める目的だったが「悪いアイデア」だったと弁明した。パーティーの企画に「悪意も人種差別的な趣旨もなかった」とインスタグラムの投稿にコメントしている。

Instagram: @sarayka_lounge

Sarayka Loungeの店内

コロンボのロシア大使館も「ロシアはあらゆる形の人種差別とナショナリズムを強く非難する」と声明を発表した。

「私たちは、このような残虐行為の兆候と闘います。そのためにウクライナでロシア軍による特別軍事作戦が成功裏に実施されています」

「スリランカで観光で滞在する、または永住するロシア国民に、スルランカの法律を遵守し現地の習慣を尊重するよう、改めて強く求めます」

ウクライナ侵攻が始まってから、ロシア人は政府による渡航制限に直面している。NBCニュース によると、ビザが無料で延長できたスリランカに、徴兵を避けるなどの目的でロシア人が押し寄せた。

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2022年、スリランカへの直行便を開始したロシアの航空会社アズール・エア

スリランカ観光局 のデータでは、2023年に約20万人のロシア人と約5000人のウクライナ人がスリランカを訪れている。

観光ビザの有効期間である30日を超えてスリランカに残留している人数は定かではないが、数千人規模と見られており、中にはレストランやナイトクラブを立ち上げビジネスを始める者もいるという。

今回の騒動を受け、スリランカ政府はロシア人とウクライナ人を対象に無料の長期滞在ビザを廃止すると発表した。

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ウィクラマシンハ大統領

しかし、ロシア人観光客は苦境にあるスリランカ経済の支えとなっており、同国のラニル・ウィクラマシンハ大統領は「ビザ廃止には閣議決定が必要」だと疑問を呈している。

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