東日本大震災13年 風化防ぎ、備え考える 記録展や防災イベント 茨城・水戸

「いばらき学ぼうさい」で首都直下地震をVRで体験する来場者=水戸市内原

「3.11」を忘れずに、命守る準備を-。東日本大震災から13年となるのを前に、茨城県主催の震災記録資料展示会と体験型防災イベント「いばらき学ぼうさい」が9日、同県水戸市で開かれた。防災意識を高める資料とイベントを通じ、記憶の風化を防ぐのが狙いで、来場者に日頃の備えや災害時の避難行動を考えるよう呼びかけた。

県庁2階県政広報コーナー(同市笠原町)で開幕した展示会は9回目。県が「記録収集事業」として、2015年度に県民や企業から集めた62人の体験談、18市町村の記録誌、被災で止まった時計など約361点の資料を並べた。

県民提供の動画を14分間にまとめた映像には、津波に押し流される自動車や避難を急ぐ市民の切迫した当時の様子が映し出された。全44市町村の写真は、避難所ですし詰めで寝る避難者や給水を求める列、崩れた橋、道路、線路などを記録しており、来場者が足を止めて見つめた。

20年度から行われている「いばらき学ぼうさい」は、買い物に訪れた親子連れを対象に体験を通じて防災への備えを啓発する取り組み。今回は8団体がイオンモール水戸内原(同市内原)に11コーナーを設けた。

仮想現実(VR)技術を使った首都直下地震の体験では、来場者が目の前で崩れるように見える建物の外壁などから、どう身を守るかを考えた。木製の柱や梁(はり)に見立てたストローで家を作るコーナーでは、親子で耐震補強の基本となる「筋交い」を柱と柱の間に斜めに入れることで強度が増すことを学んだ。

VR体験に参加した同市、常磐小5年、青木奏斗君(11)は「怖かった。実際の地震では机の下に隠れ、落ちてくる物から頭や身を守りたい」と話した。父親の暢彦さん(45)は改めて危機意識を高めた様子で「家の防災グッズを再確認したい」と語った。

震災記録資料展示会は22日まで開かれている。

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