落石対策工事が難航 予土線高知側 22年脱線事故 柵増強 山腹で人力頼み

JR予土線の土佐大正―打井川間の沿線にある落石止め柵。左側が新たに設置した柵(JR四国提供)

 JR予土線の高知県側で2022年8月に起きた落石による列車脱線事故で、再発防止に向けた対策工事が息の長い取り組みを強いられている。JR四国は沿線の斜面に設ける落石止めの柵の増強を進める。これまでに土佐昭和―打井川間内の計3.4キロを対策区間とし、7カ所で線路の防護策を講じてきたものの、現時点で全ての工事が完了するめどは立ってない。

 高知側の予土線は四万十川沿いを走る列車の姿が印象的だが、沿線の多くが里山と山間部という事情は愛媛側と同じだ。脱線をもたらした石は斜面から転がり落ちたとみられ、柵の近くに土砂がたまって受け止めきれなかった可能性が高い。

 事故後、JR四国は江川崎―半家間の落石現場近くの山あいに立木を活用した柵を新設するなどし、発生の4日後に全線で運転を再開した。新たな対策が必要な箇所を洗い出し、作業が比較的容易で効果が高いと判断した沿線から柵のかさ上げや増設を始めた。

予土線の江川崎-半家間の沿線近くの山腹に設けられた石止め柵。現地にある立木を利用している(JR四国提供)

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