上山市中心部、出店ラッシュ 空き物件活用、2年で10店

お好み焼き屋をオープンする空き家の前で語り合う斎藤智英さん(中央)と渡辺秀賢理事長(右)、鏡昌博副理事長=上山市

 上山市中心部に今春、空き店舗を活用した二つの飲食店がオープンする。市とNPO法人かみのやまランドバンク(LB、渡辺秀賢理事長)の手厚い支援が奏功し、近年は同様に空き物件を活用した出店が相次ぐ。若い世代を中心に「上山で挑戦したい」という希望者が増えている。

 市建設課によると、2022年以降にJRかみのやま温泉駅西エリア~上山城周辺の空き物件を使った出店数は計10カ所で、他に計画中の場所もあるという。

 山形市内でお好み焼き屋を経営する斎藤智英さん(39)=上山市権現堂=は4月下旬、上山市新湯にある公共浴場「澤のゆ」近くの空き家に新店舗を開店する。「空き家を使ってコミュニティーを生み出すかみのやまLBの考えと、地元のまちづくりに恩返ししたいという自分の思いが重なった」と話す。市民をはじめ、上山温泉の利用客やインバウンド(訪日客)の需要を見込んでいるとした。

 同市沢丁でも同時期に日本酒バー兼カフェの出店が予定されており、わずか2年でワイナリーやカフェ、スイーツ店などが誕生した。出店ラッシュの背景には市とかみのやまLBによる支援体制がある。

 相談に応じてLBが管理する空き物件を案内。リノベーションや外観改修に対する市の補助制度の他、クラウドファンディング活用を前提にしたLBの助成の利用を紹介する。LB会員の建築士やデザイナーによる改装・ロゴデザインの提案も可能だ。さらに自由参加のまちづくり会議「湯るっと会議」や、市内で開催されるマルシェへの参加を促し、市の雰囲気や手応えをつかんでもらっている。

 上山城周辺には健康的な料理を提供する「厩戸(うまやど)―umayado―」や、全国から愛好家が訪れる「おかげさま文房具店」など、空き家や既存の建物をリノベーションした人気店がある。市建設課副主幹でLBの鏡昌博副理事長は、成功例が出店希望者の刺激や意欲につながっているとし「コロナ禍を経て人もまちも動き始めている。活性化に向けて一層取り組んでいく」と話した。

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