「沖縄の海にはまだまだ未知の種類が…」 新種のヤドカリを発見 群馬・高崎市出身の中島さん(琉球大院生)

沖縄県の海底洞窟で発見されたドウクツヤワクダヤドカリ(中島さん提供)

 琉球大と沖縄県立芸術大は、同県恩納村の海底洞窟から新種のヤドカリを発見したと発表した。琉球大理工学研究科博士後期課程2年の中島広喜さん(26)=群馬県高崎市出身=らの研究チームによる成果。中島さんは「沖縄の海にまだまだ未知の種類がいることを期待させる」と発見の意義を語った。

 ヤドカリ類は世界各国に生息する甲殻類で、腹部に巻貝の殻を背負って生活している。世界で約1400種が確認され、日本でも200種以上が確認されているが、未発見の種も依然多いと考えられている。

 琉球列島の生物の研究は沖縄県立芸術大の藤田喜久教授を中心に進められ、中島さんは昨年7月に同村で行われた海底洞窟の調査に参加した。水深は浅く水平方向に広がった洞窟で、海水と淡水が混ざった独特な環境があることから珍しい生物の発見を期待して調査を実施。洞窟の入口から30メートルほど進んだ水深1メートルほどの地点でヤドカリを発見し、採取した。既存の種類と比較した結果、新種と判明したことから、「ドウクツヤワクダヤドカリ」と名付けた。

 ドウクツヤワクダヤドカリは全長5ミリほど。ハサミ状の脚「鉗脚(かんきゃく)」にトゲが多数生えていることが特長。インドから西太平洋で4種だけ発見されているヤワクダヤドカリ属に属するが、トゲが多数生えている種類は他に見つかっていなかった。

 これまでシャコを専門に研究していた中島さん。ヤドカリの調査は初挑戦だったが、今回の発見を受け、「違う分類を研究することで学ぶことも多い」と語った。沖縄の海の生物の豊かさから今後も新種が発見されることへの期待を示し、「引き続き調査していきたい」と意気込んでいる。

 論文は中島さん、藤田教授、島根大の大沢正幸客員研究員の共著。5日に動物分類学の専門誌「ズータクサ」に掲載された。

© 株式会社上毛新聞社