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5月6日、東京ドームでモロニーに挑戦
プロボクシングのWBO世界バンタム級10位・武居由樹(27=大橋)が5月6日、東京ドームで行われる井上尚弥vsルイス・ネリと同じリングで同級王者ジェイソン・モロニー(33=オーストラリア)に挑戦することが決まった。
サウスポーの武居はK-1からボクシングに転向後、8連続KO勝ち。5戦目で東洋太平洋スーパーバンタム級王座を奪い、同門・井上尚弥のスーパーバンタム級転向と入れ替わるようにバンタム級に下げ、9戦目で世界初挑戦のチャンスをつかんだ。
キックボクシングからボクシングに転向した那須川天心(25=帝拳)は3戦目で世界ランク入りしたが、武居の9戦目での世界挑戦も異例の早さだ。世界王座を奪取すれば歴代6位に並ぶスピード出世となる。
日本人最速は田中恒成の5戦目
これまでの日本選手の最速世界王座奪取は田中恒成(28=畑中)の5戦目。ランキングは以下の通りとなっている。
①田中恒成(畑中)5戦目=WBOミニマム級
②井上尚弥(大橋)6戦目=WBCライトフライ級
③井岡一翔(現志成、当時井岡)7戦目=WBCミニマム級
④辰吉丈一郎(大阪帝拳)8戦目=WBCバンタム級
④名城信男(六島)8戦目=WBAスーパーフライ級
⑥具志堅用高(協栄)9戦目=WBAライトフライ級
⑥井岡弘樹(グリーンツダ)9戦目=WBCミニマム級
武居が所属する大橋ジムの大橋秀行会長も現役時代、7戦目でWBCライトフライ級王者・張正九(韓国)に挑み、5回TKO負けしている。
大橋ジムの先輩で現トレーナーの元3階級世界王者・八重樫東も7戦目で世界初挑戦したが、イーグル京和に判定負け。いくらアマチュアなどで実績のある選手でもプロでのキャリアが浅いうちの世界王座獲得は簡単ではないのだ。
ちなみに世界最速記録はセンサク・ムアンスリン(タイ)とワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)の3戦目となっている。
モロニー攻略のカギはボディーブロー?
実際に勝つチャンスはどれくらいあるだろうか。
モロニーは2018年10月に現IBFバンタム級王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)が井上尚弥に敗れる前に保持していたIBFバンタム級王座に挑み12回判定負け。2020年10月には井上尚弥のWBA・IBFバンタム級王座に挑んで7回KO負けした。
その後、再起して2023年5月に井上尚弥の返上したWBOバンタム級王座をビンセント・アストロラビオ(フィリピン)と争い、12回判定勝ちで念願の王座奪取。今年1月にサウル・サンチェス(アメリカ)を判定で下し、初防衛に成功している。
ここまで27勝(19KO)2敗。敗れたのはロドリゲスと井上尚弥の世界王者2人だけで、キャリアでは武居を大きく上回る。
身長は165センチで170センチの武居より低いが、足を使うタイプではない武居にとってそれほど大きなアドバンテージにはならないだろう。モロニーはガードが高い分、逆にボディーは狙い目かもしれない。武居とすれば先手を取ってペースをつかみ、上下に打ち分けながらKOチャンスをうかがいたい。
とはいえ、モロニーもスピードがあり、基本に忠実なタイプのため崩すのは簡単ではない。戦前の予想では「武居不利」と見る向きも多いが、予想を覆して9戦目で戴冠なるか注目だ。
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