春に出産予定です。会社員のママ友から産前産後の「年金保険料」と「健康保険料」が免除されると聞きました。具体的にはいくら免除されますか?

産前産後休業期間は社会保険料が全額免除される

先述のとおり、会社員が産前産後休業を取得した場合、社会保険料が全額免除されます。例えば、社会保険料を3万円支払っている方は、3万円全額が免除されるということです。

社会保険料が免除される期間は、産前産後休業期間とされている産前6週間(42日)(多胎妊娠の場合は14週間)から産後8週間(56日)のうち、妊娠や出産を理由として被保険者(本人)が労務に従事しなかった期間です。

産前産後休業期間中は、社会保険料が免除されますが、「休業する前と同じように社会保険料を支払っている」と見なされます。このため、健康保険の給付も、休業前と同じように受けることができます。また、将来の年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)にも影響はありません。

保険料免除を受けるための手続き

社会保険料が免除されるには、所定の手続きが必要です。被保険者の手続きとしては、産前産後休業の取得について事業主(会社)へ申し出を行う必要があります。申し出を受けた事業主は「産前産後休業取得者申出書」を、事務センターまたは管轄の年金事務所に提出します。

「産前産後休業取得者申出書」は、産前産後休業期間中または産前産後休業期間終了後1ヶ月以内に提出しなければなりません。

出産した日が出産予定日より前(または後)であった場合、原則として、出産後に「産前産後休業取得者変更(終了)届」を提出しなければなりません。出産予定日に出産した場合や、出産後に「産前産後休業取得者申出書」を提出した場合は、「産前産後休業取得者変更(終了)届」の提出は不要です。

また、産休を終了した日が産休終了予定年月日よりも前である場合も、「産前産後休業取得者変更(終了)届」により、終了日を届け出なければなりません。終了予定日どおりに終了した場合は、届け出る必要はありません。

まとめ

ここまで、会社員が産前産後休業を取得すると、その期間中に社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)が免除されることについて、解説をしてきました。まとめると、以下のとおりです。

__・会社員が産前産後休業を取得した場合、社会保険料が全額免除される
・免除期間は、一般に、産前42日から産後56日まで
・社会保険料が免除されても、健康保険や年金に影響はない
・保険料が免除されるためには「産前産後休業取得者申出書」を提出しなければならない
・出産予定日よりも前(または後)に出産した場合は「産前産後休業取得者変更(終了)届」を提出しなければならない__

本記事で解説した「産前産後休業中の社会保険料免除」のほかに、育児休業(産後パパ育休)、介護休業においても、さまざまな経済的支援制度があります。本記事も参考に、これらの制度を上手に活用していただければと思います。

出典

厚生労働省パンプレット 「育児休業、産後パパ育休や介護休業をする方を経済的に支援します」
日本年金機構 「平成26年4月から産前産後休業期間中の保険料免除が始まります」
日本年金機構 「知っていますか?国民年金保険料の免除制度」
日本年金機構 「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が産前産後休業を取得したときの手続き」

執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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