被災地への寄附はふるさと納税がおすすめと聞きました。返礼品なしでできるとのことですが、寄附金控除はどうなるのでしょうか?

義援金や寄附金は寄附金控除の対象となる

被災地への寄附(被災地の地方公共団体に設置された災害対策本部などに支払った義援金や寄附金)は、「特定寄附金」に該当するため、寄附金控除の対象となります。ふるさと納税を利用して被災地へ寄附を行った場合も、同様です。

控除を受けられるのは、寄附額のうち2000円を超える部分についてです。ふるさと納税を行った場合の寄附金控除の手続きとしては、(1)確定申告をする、(2)ふるさと納税ワンストップ特例を申請する、のいずれかです。

確定申告をすると所得税と住民税から控除される

確定申告をする場合のふるさと納税の流れは、以下のとおりです。

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(1)支援する自治体を選ぶ
(2)ふるさと納税をする
(3)確定申告を行う
(4)所得税から控除される
(5)翌年度の住民税から控除される
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確定申告は、ふるさと納税を行った翌年の3月15日までに行います。確定申告を行う際には、寄附を証明する書類(受領書など)を添付する必要があります。受領書は、ふるさと納税を行ったときに自治体から発行されますので、大切に保管しておくようにしましょう。

確定申告を行った場合、その年の所得税と、翌年度の住民税から控除を受けることができます。例えば、2万円のふるさと納税を行った場合、その年の所得税から1800円(所得税の税率が10%の場合)、翌年度の住民税から1万6200円、合計1万8000円(=2万円-2000円)が控除されます。

ふるさと納税ワンストップ特例を申請すると住民税から控除される

ふるさと納税ワンストップ特例を申請する場合のふるさと納税の流れは、以下のとおりです。

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(1)支援する自治体を選ぶ
(2)ふるさと納税をする
(3)翌年度の住民税から控除される
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ふるさと納税ワンストップ特例を申請するには、ふるさと納税を行う際に、ふるさと納税ワンストップ特例の申請書を提出する必要があります。また、この申請を行えるのは、確定申告を行わない給与所得者などで、ふるさと納税を行う自治体の数が5団体以内である場合に限ります。

ふるさと納税ワンストップ特例を申請した場合、所得税からの控除はなく、翌年度の住民税からのみ、控除を受けることができます。例えば、2万円のふるさと納税を行った場合、翌年度の住民税から1万8000円(=2万円-2000円)が控除されます。

まとめ

ふるさと納税は、寄附する自治体を自分で決め、寄附した金額のうち2000円を超える部分について、所得税や住民税から控除を受けられるという制度です。ふるさと納税は節税のイメージがあるかもしれませんが、その本質は税金の使い道を自分で決められるということにあります。

ふるさと納税を活用して、被災地へ寄附することも可能です。その場合、ご自身の住民税(および所得税)を、お住まいの自治体にではなく、被災地へ支払うということになります。お住まいの自治体への住民税が減額されるという点で、一般的な寄附とは異なります。

ふるさと納税を行い、寄附金控除を受けるためには、2種類の方法があります。(1)確定申告をするか、(2)ふるさと納税ワンストップ特例を申請するかです。

確定申告をした場合、その年の所得税と翌年度の住民税から控除を受けることができます。一方、ふるさと納税ワンストップ特例を申請した場合、所得税からの控除はなく、翌年度の住民税から控除を受けることができます。

なお、いずれの方法であっても、控除を受けられる額は「寄附額のうち2000円を超える部分」であり、その合計額は同じになります。

ふるさと納税の方法について、一概にどちらが良いということはいえません。ご自身に合った方法を選んでいただくのが良いと思います。本記事では、それぞれの特徴も解説しています。本記事が、ふるさと納税を行う際の参考になれば幸いです。

出典

国税庁 「被災地の地方公共団体に設置された災害対策本部等に対して義援金を支払った場合」
国税庁 「義援金に関する税務上の取扱いFAQ」
国税庁 「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」
総務省 「ふるさと納税のしくみ」

執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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