【川崎】ホーム等々力でまさかの公式戦3連敗。それでも見えた“可変カルテット”という光明

[J1第3節]川崎 0-1 京都/3月9日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

前節、リーグのホーム開幕戦で磐田に4-5で敗れた川崎は、続いて3節で京都と本拠地の等々力で対戦。前半こそ優位に試合を進めたが、65分にセットプレーの流れから失点して0-1で敗れた。

多くの選手が入れ替わった今季、シーズン開幕戦となったACLラウンド16のアウェーの山東泰山戦(3-2)や、富士フイルムスーパーカップの神戸戦(1-0)に連勝して良いスタートを切ったかに見えたチームだが、続くACLラウンド16のホームでの第2戦は2-4で敗れ、悲願のアジア制覇の夢が早くも消滅。

切り替えて臨んだ湘南とのアウェーでのリーグ開幕戦は2-1で逆転勝利するも、その後は前述したように磐田と京都にホームで2連敗。かつて強さを誇ったはずの等々力で開幕からまさかの3連敗と苦しい戦いが続く。

鬼木達監督も忸怩たる想いを示しながら「苦しい時間、時期があるかもしれませんが、しっかりと自分たちらしく進んでいくことが非常に重要だと思います。そこは自分自身がまずしっかりと覚悟を決め 戦っていきたいです」と前を向いた。

【動画】ゴミスのフロンターレでの幻の初ゴール

もっとも敗れた京都戦でも明るい材料はあった。

それは中盤のキーマンである脇坂泰斗、山本悠樹、瀬古樹、橘田健人の同時起用である。

鬼木監督はこの試合、4-3-3を継続しながら、今季はアンカーで出場を続けていた橘田を右SBへ移し、中盤の3枚をアンカー・山本、インサイドハーフ・瀬古、脇坂で構成。

もっとも橘田は攻撃時には中盤に加わって山本とダブルボランチを組むようなポジションを取り、システムは今季同様の形も見せてきたが、より明確に3-4-3のような形に可変。同じ4-3-3を組む京都の中盤をテクニカルなパスで連動し合う4人(脇坂、瀬古、山本、橘田)で飲み込んだのである。特にアンカーを務めた山本の長短のフィードは抜群の精度であった。

すると開幕から苦慮していたビルドアップが格段に安定したチームは、相手を押し込む。敵陣深くでCBの大南拓磨がポゼッションに参加する姿が見られたことが、何よりの象徴だったと言えるだろう。そのパスワークは見続けたい美しさがあった。

もっとも後半は京都に選手交代によって、橘田を右SBの位置に押し込まれ、中盤のセカンドボールの奪い合いで後手を踏み、流れが滞ってしまった点は大きな課題である。ポゼッションには有効だが、守備強度という面では修正点が多い形と捉えられるだろう。

さらに新加入ながら果敢なオーバーラップで外せない左SBとなった三浦颯太がポゼッション時に3バックの左を担ったことでポジションが低くなった点も、選手たちのなかで改善ポイントに挙がっていたという。新エースのエリソンを怪我で欠いたなか、VARでバフェティンビ・ゴミスの得点が取り消しになるなどの面もあったが、ゴール前で迫力を欠いた点も反省材料だろう。

またこの試合を経て各クラブに対策も練られるはず。これまで同様にボールが集まるアンカーの山本がプレスの標的になりそうで、橘田を右サイドに貼り付けにさせられる術も講じられるだろう。

そうした動きを技術力とポジショニングでいなしてこそ川崎だが、結果が伴っていない今、自信を持って立ち向かえるか。個人的には京都戦の戦い方の進化系を見てみたい想いが強い。苦しい戦いが続くが、ブレないことこそが大事なのだろう。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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