農夫山泉のボトル水を捨てる動画がネット上で続出、もはや「ネット暴力」―中国メディア

8日、中国メディア・大象新聞は、中国のネット上で巻き起こっている中国の飲料大手、農夫山泉に対するバッシングを「ネット暴力」として批判する記事を掲載した。

2024年3月8日、中国メディア・大象新聞は、中国のネット上で巻き起こっている中国の飲料大手、農夫山泉に対するバッシングを「ネット暴力」として批判する記事を掲載した。

記事は、2月25日に死去したワハハグループの創始者、宗慶後(ゾン・チンホウ)氏を悼む活動がネット暴力に変わりつつあると紹介。農夫山泉の創業者が若い頃にワハハの代理店を営んでいたにもかかわらず、後に同業種で創業してライバル関係となったという「因縁伝説」が宗氏の死去に伴って再び取り沙汰され、農夫山泉へのバッシングが強まっており、株価が3日連続で急落したほか、販売店の売り上げも激減したと伝えた。また、緑茶飲料のラベルや宣伝コピーが「日本にこびている」という指摘も飛び出し、一層農夫山泉に対する風当たりが強くなっているとした。

そして、SNS上には農夫山泉のボトルウォーターの中身をトイレなどに流し捨てる動画を掲載するネットユーザーが相次ぎ、中には水を捨てる様子をライブ配信する人物まで出現するなど、農夫山泉をターゲットにした「祭り」騒ぎになっていることを伝えた。

その上で、消費者としてワハハを買うのも農夫山泉を買うのも個人の権利であり、一部の「志士」が農夫山泉の水を飲まないと主張するのは個人の自由であるとする一方で、水を捨てるという行為に及べばこれは恥ずべき無駄だと指摘。農夫山泉のボトルウォーターを生産するには当然ながらコストが掛かっており、さまざまな人の労力の上で成り立っているのだとした。

また「農夫山泉の水を捨てるライブ配信をする人は決して愚かではないが、それ以上に愛国者ではない。彼らは負の情緒を作り出し、世論をかき立て、愛国心を振りかざして、(アクセス数などの)トラフィックを獲得している。特定のブランドを叩き潰そうとするこのような風潮は、民間経済の発展と民間企業の保護を強く提唱する国の方針に反している。ワハハが好きなら宗氏を尊敬すれば良く、農夫山泉を憎む必要はない。農夫山泉とワハハはいずれも中国の優秀な民間企業であり、中国の経済発展に貢献し、国に税金を収め、慈善団体への寄付も行ってきたのである」と論じた。

記事は、SNS界隈にはびこる「トラフィック至上主義」がネットにおける悪の勢力の温床となっていると指摘。偽の愛国を掲げて民営企業を叩きトラフィックを稼ぐ風潮を野放しにしておけば、民間企業の自信が揺らぐことになるとした。そして「水に罪はない。水を捨てるのは恥だ。こんな茶番は、さっさと止めるべきだ」と結んだ。(翻訳・編集/川尻)

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