「ぼけますから、よろしくお願いします」監督が語る映画の裏側 信友さん講演「周囲の力借りて」

介護について「家族が笑顔でいることが、認知症を患う家族にとっても大切なこと」と語る信友監督(宇治市折居台・宇治市文化センター)

 認知症になった母と支える父の姿を記録したドキュメンタリー映画「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえりお母さん~」の監督、信友直子さん(62)の講演会がこのほど、宇治市文化センター(京都府宇治市折居台)であった。信友さんは「一人で介護を抱え込むのではなく、周囲の力を借りて。認知症を患っている家族がここに居てもいいと思えるためにも、笑顔でいることが大切だから」と語った。

 同映画は続編で、2022年3月に公開された。新型コロナウイルス禍で母の最期に向き合う父母の絆を娘の視点で撮り続けた。

 映画上映後の講演会で信友さんは、103歳を迎えた父の近況を報告し、長生きのこつについて話した。「父を見ていて、段差を上ることなどやれるうちはやって、世の中への好奇心を持ち続けることが大事だと思った。後は肉をよく食べること」と会場を笑わせた。

 信友さんは母に胃ろうの延命治療を決断したことを振り返り、「今でもこれでよかったのかと考えてしまうことがある。元気なうちに家族で話し合っていてほしい」と呼びかけた。

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