中国衛星企業のサービス力 カスタマイズから打ち上げまで

中国衛星企業のサービス力 カスタマイズから打ち上げまで

最終組立試験中のリモートセンシング衛星「河南1号」。(2022年5月27日撮影、長春=新華社配信)

 【新華社長春3月10日】中国では2014年に政府が国家民用宇宙インフラ建設への民間資本の参加を呼びかけて以降、商業宇宙産業の成長余地が大きく広がり、衛星を開発する企業が相次いで誕生した。

 一部の民間企業はこの10年、研究開発と技術の向上に取り組むとともに、新たな商業モデルを絶えず探求し、市場ニーズに適応してきた。吉林省の衛星開発企業、長光衛星技術もその一つで、打ち上げ費用や運営費をセットにした衛星のパッケージサービスや情報のカスタマイズという新たな試みを打ち出している。

 河南省では3月に入り、小麦が節間伸長期を迎えた。春の栽培管理で重要な時期であり、はるか宇宙では長光衛星技術が同省と開発したリモートセンシング衛星「河南1号」が生育状況を監視していた。

 同社農林応用部門の責任者、曲春梅(きょく・しゅんばい)氏は、農作物が病虫害を受けると細胞壁の構造や葉緑素の含有量が変化するので衛星リモートセンシングのスペクトル解析技術で特定できると説明。衛星データはモデル解析を通じて作物の生育や生産環境を反映できると述べた。

 河南1号は0.75メートルの解像度を持つプッシュブルーム型の光学リモートセンシング衛星で、2022年8月に打ち上げられ、耕地保護や国土空間計画、生態系修復、土地利用などで重要な役割を担っている。

中国衛星企業のサービス力 カスタマイズから打ち上げまで

論文に使われた光学リモートセンシング衛星「吉林1号」寛幅01Bの衛星画像。(2022年3月9日撮影、長春=新華社配信)

 顧客の細かなニーズに合わせた機種の選定と改良や、カスタマイズから打ち上げまでのトータルサービス。同社の衛星パッケージ事業はここ数年で成熟を続け、十数の組織や機関に40機余りをカスタマイズしてきた。商業衛星企業は衛星を売るだけでなく、将来性が見込める宇宙関連情報サービスも探求している。

 今年1月には同社が運営する光学リモートセンシング衛星「吉林1号」寛幅01Bが撮影した画像が、論文掲載写真として英科学誌ネイチャーの地質学姉妹誌ネイチャー・ジオサイエンスの表紙を飾った。

 同社の張瑞(ちょう・ずい)プロダクトマネジャーは「教育分野のユーザー500人余りが論文に吉林1号の画像データを用いている」と説明。論文は生態環境保護や地質モニタリング、資源探査、金融サービスなどの分野、使用された画像の撮影面積は計30万平方キロ以上に及び、宇宙関連の情報資源の十分な応用を積極的に推進しているという。

 教育系ユーザーによるデータ利用は衛星画像の応用のごく一部に過ぎない。中国の商業衛星企業の多くは、イベントに各界の専門家を招き、衛星の各種応用シーンを提供し、開放的な姿勢でより多くの革新的業態を生み出している。(記者/孟含琪)

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