今春の入試を振り返って 関関同立の入試担当者に聞きました

2月の一般入試が終了しました。関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学の入試担当者に本年度の入試分析と、今後のニュースや特徴的な教育活動などについて聞きました。

※文中の数字は、2024年2月入試のデータです。

【関西大学】留学への期待値が外国語学部人気へ2025年4月に新学部を開設予定

入試センター 所長 伊藤博介さん

一般・共通テスト利用入試の総志願者数は、7万1458人で、前年度比マイナス6.4%と減少しました。特に昨年高倍率だった法学部、総合情報学部がいずれも32〜33%減少しました。一方で、外国語学部が前年比110.1%、環境都市工学部が同122.9%など、増加した学部もありました。外国語学部については、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和されて国際交流が活発になったこと、環境都市工学部については、共通テスト利用入試で新たな方式を導入し、受験機会が増えたことが志願者増加につながったと思います。

昨年10月、吹田市山田南に「吹田みらいキャンパス」を開設しました。同キャンパスには、1学年350人(予定)の「ビジネスデータサイエンス学部(仮称・設置構想中)」を2025年4月に開設予定です。企業との連携による実データを活用したアクティブラーニングが特徴で、ビジネスとデータサイエンスの両者を実践的に学ぶことにより、課題発見・解決能力を身につけます。このほか、キャンパス内には新たな国際学生寮や、グラウンド等も設置予定です。未来を見つめる関西大学の動きに今後も期待してください。

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【関西学院大学】

4年連続で、文理とも志願者数が増加

「多様な学び」をかなえる充実の環境

入学センター センター長 楠本紀代美さん

一般選抜入試の志願者数は、5万1097人に。前年度比約20%増で、4年連続で増加しました。特に、教育学部の前年度比58.3%増、商学部32.8%増が目立ち、理系4学部も伸びました。

来年度の新課程入試への安全志向の高まりとともに、受験者ファーストの入試制度改革も影響したと考えます。さまざまな併願方法を用意し受験チャンスを拡大。学部個別日程で、特定の科目の配点が高い傾斜配点型と、3科目均等配点型を新設しました。本学を併願することで受験料が減額になる制度も。今年度は姫路市で受験日を拡充しました。

本学では、学部・学科の垣根を超えた“多様な学び”を推進しています。所属学部以外の幅広い科目を自由に選べる「他学部履修」や、最短4年で2つの学位を取得できる「マルチプル・ディグリー制度」などを導入。また、日本IBMと共同開発した「AI活用人材育成プログラム」は、全学部の学生が受講でき、AIやデータサイエンスを実践的に学べます。

2025年春には、神戸三田キャンパスに隣接して、学生寮とインキュベーション施設などからなる複合施設を開設。学びの幅が広がる環境づくりを進めています。

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【同志社大学】

一般・共通テスト利用ともに志願者増

4月からの新学年暦で新たな学びへ

入学センター所長 川満直樹さん

一般・共通テスト利用入試ともに志願者数は3年連続増加し、総数は前年度比2%増の5万974人に。一般入試では、昨年度社会科学系学部で最も合格最低点が低かった政策学部の志願者が前年度比160.1%と大幅増。昨年度大幅増の商学部は一転して大幅減など、隔年現象がみられる中、文化情報学部は2年連続増。DDASHという同志社データサイエンス・AI教育プログラムを全学的に行っていますが、情報学の注目度は高いようです。理系の学部や経済学部、スポーツ健康科学部、グローバル・コミュニケーション学部も継続して増加。試験地別では中・四国、九州を中心に志願者が増えました。

2024年度は新たな学年暦がスタート。原則、履修登録時のガイダンスと期末試験後の総括や解説はオンライン授業に。長くなった夏期・春期休暇を活用し、留学や課外活動など成長の機会にしてほしいと考えます。2025年の創立150周年に向け“学びのかたちの新展開”など6つのビジョンに取り組む中、高大接続プログラムの構築にも注力、“「志」ある人物の受入れ”を推進していきます。記念事業の一つとして建て替え中の今出川図書館は2026年秋完成予定です。

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【立命館大学】

文系学部を中心に志願者増

4月、映像・情報系学部がOICで始動

入学センター 入学課課長 正木悠里さん

前期(2月入試)は8万7324人、前年度比105.5%となり、3年連続で増加しています。中でも、2025年度からの新課程入試の影響で、文系の学部の伸びが顕著でした。半面、理工学部、生命科学部、薬学部といった理系学部では昨年並みでした。

4月に大阪いばらきキャンパス(OIC)に移転する映像学部は前年度比112.6%、情報理工学部は118.8%。この2学部以外にもOICにある学部が好調で、今後の展開への期待の表れと感じています。

本学はねばり強く受験に取り組む学生に挑戦してほしいという思いから、後期(3月入試)も実施しています。新課程入試以降も一般選抜が募集人数の6割を占める入試の考え方から大きな変更はありません。一方で、AO入試の新しいチャレンジメソッド「UNITE Program(学部指定単元AI学習プログラム)」の導入学部も8学部に拡大し、入学者が大学での学びを高次元で発展させるための意欲と基礎学力の両方を見ていきます。

今後も京都、滋賀、4月から新棟の誕生でリアルとバーチャルの融合が実現する大阪の3キャンパスで、未来を創造する人材を育てていきます。

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