【MLB】ド軍ベッツの遊撃コンバートに広がる波紋 米地元紙は「スーパースターをセーフティーネットのように扱うな」と憤り隠さず

ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は8日(日本時間9日)、内野陣のコンバートを発表。二塁を守る予定だったムーキー・ベッツ内野手を遊撃へ、そして遊撃手としてプレーするはずだったギャビン・ラックス内野手を二塁へ回すと明らかにした。開幕11日前に下された突然の決断に波紋が広がっている。

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■ラックスの守備負担軽減を考えた措置

昨季までのメジャー10年間、ほぼ右翼手としてプレーしてきたベッツ。優れた打撃能力を保持するだけでなく、右翼手としてこれまでゴールドグラブ賞を6度受賞するなど守備の名手でもある。同時にユーティリティー性も持ち合わせており、二塁手としても通算100試合に出場。ただ、遊撃手としては16試合の出場にとどまっている。

ロバーツ監督は今季の方針として「ベッツは右翼手ではなく、二塁手に専念させる」と明言。ベッツ自身もオフから二塁手としての練習に励んで来たが、突然の変更となった。

コンバートに踏み切った背景には、今季遊撃のレギュラーとして期待されていたラックスが、オープン戦で送球ミスを連発するなど守備面で不安をのぞかせたことにある。記録には残らなかったが、悪送球を一塁手の好捕に救ってもらったシーンもあった。

そのため、チームは送球の負担を減らすためにラックスを二塁に回すことを決定。守備には難があるものの、打撃面で好調なラックスをラインナップから外したくないという思いがあり、二塁手予定だったベッツが遊撃手を務めることになった。

■「ムーキーをいじるな」と反対論浮上

しかし、この決定が波紋を広げている。米地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」は早速、「ムーキー(ベッツ)をいじるな!」と題して、記事を公開。「スーパースターをセーフティーネットのように扱うな」と記し、2018年にMVPを受賞するなどメジャーを代表する選手であるベッツを右翼手から二塁手へ、そして今度は二塁手から遊撃手へと開幕前に2度もコンバートさせるチームを批判した。

昨季のラックスは右膝前十字じん帯断裂の大ケガを負い、シーズン全休。復活を期す今季については、序盤からベストパフォーマンスを出せるのか、以前から懐疑的な声は少なくなかった。そのため、同紙は「わずか数試合でラックスの遊撃起用をあきらめたことは信じられない」としつつ、そもそもチームはラックスが遊撃手として通用するか疑問を持つべきだったとして「オフに遊撃手を獲得することもできたはず」と指摘。ブルワーズのウィリー・アダムス内野手の名前も挙げ、トレードなどを持ちかけるべきだったと主張した。

■守備職人が控えているのに……

また、ラックスの打撃面を重視するあまり、ベッツを遊撃に回したことにも異を唱えた。ドジャースには、昨季遊撃手として121試合を守ったミゲル・ロハス内野手らが控えている。

34歳のロハスは打撃面ではラックスに劣るが、堅実な守備を誇り、マーリンズ時代の22年にはリーグ最高の守備率.987をマークした。そのため、同紙はロハスが打てなかったとしても、大谷翔平投手やテオスカー・ヘルナンデス外野手らを加えた打線は十分強力であり、カバーできると訴えた。

最後まで同紙は、ラックス起用を重視し、スーパースターを軽んじるようなコンバートには納得いかないようだった。

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文●SPREAD編集部

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