クリスプサーヴのスーパードライが飲める!「KEEL’S BAR」OPEN

元アサヒビール社員の原田豊氏が、ビールと共に歩んできた40年の集大成として、お茶の水に「KEEL’S BAR」をオープンした。日本一うまいスーパードライをめざす同店では、サクサクと泡が弾ける「クリスプサーヴ」のスーパードライが飲める。

オーナーの原田豊氏

ビアホール文化の継承

現在「新橋DRY-DOCK」も経営する原田豊氏は、元アサヒビールの社員である。2月20日にオープンしたKEEL’S BARは、日本一おいしいスーパードライを飲める店を目指す、スーパードライ愛に燃えたビアホールだ。
元々アサヒビール直営の「お茶の水テラスSUPER DRY」があった場所を原田氏が引き継いだ。

1897年、大阪中之島に開店した「中之島アサヒ軒」は、氷室生ビールと洋食を中心とした、日本初のビアホール業態の店だった。それから一世紀以上、育まれてきたビアホール文化であるが、昨年「アサヒスーパードライ 梅田」が閉店し、アサヒグループホールディングスも外食事業からの撤退を決定した。

「ビールと共に歩んだボクの40数年 しごとの集大成として、ビアホール文化を継承したいと思った。ビールの大先輩たちに敬意をこめて」 (原田豊氏)

<KEELは竜骨>
KEEL(キール)は、船の竜骨の事で、一番大切な部材。船主から船尾まで貫通し、これがブレると船はまっすぐ進む事ができない。数百年前に沈んだ船も竜骨だけは残る。こうありたいという気持ちを込めて、店名となった。

2003年に開店した初代「KEEL’S BAR」は、再開発で立ち退きになり、代わりに「新橋DRY-DOCK」が誕生した。「日本一おいしいスーパードライを目指す店」として今日に至っている。
そして今回、「KEEL’S BAR」はお茶の水で再出航となった。

スーパードライは二系統のビールラインで

樽を3日間低温で安定させ、ビールサーバーの根元は水で冷やし、グラスは0.3℃にキープ、ビールは提供時1.6℃になるよう抽出装置を設計。
「有名なビアホールでは1.6℃で出している。提供温度が1.6℃ということは冷蔵庫の中は0℃にしないと出せない。冷たすぎるとおいしくなくなるという事ではない」、と原田氏は語る。

カウンターから見て、右のコックが「クリスプサーヴ」、左が「シャープ注ぎ」で提供される。

クリスプサーヴだっ!

KEEL’S BARに来たら、ぜひとも味わっていただきたいのは、クリスプサーヴで提供されるスーパードライだ。

CRISP(クリスプ)とは

アサヒスーパードライのラベルをよく見ると、CRISP TASTEという表記がある。
CRISPという言葉は、(食品が)パリパリ、サクサクしているとか、(生もの・野菜などが)パリッとしている、シャキッとした、新鮮な、(態度が)きびきびしている、(天気などが)さわやかな、、、などという意味。

クリスプなビールとは、はじけるような爽快な味わいのビール。
「飲んだ瞬間、口の中で炭酸ガスが爽やかにはじけ、おなかがふくれず何杯でも飲める」(原田氏)

クリスプサーヴ

クリスプサーヴによる泡は、昔からヨーロッパで大切にされてきた、シャンクマイスター(注ぎ手)が腕を振るう、軽くてサクサクした泡、花が咲いたような泡だ。
クリスプサーヴは技術が必要で、習得するには時間がかかることもあり、時代の流れで泡付け機で柔らかい泡をつけるシャープ注ぎが主流となっていった。
しかし原田氏は「アサヒスーパードライ 梅田」の閉店、アサヒビールの外食事業からの撤退を受けて、ビアホールの文化を無くしてはいけないと思い、クリスプサーヴの技術を引き継がせた。スタッフは猛特訓を重ねてオープンを迎えた。

・ビールグラスも特別にオーダー
スーパードライ専用…菅原工芸硝子製(手吹き工法)
スーパードライショット専用…田島硝子製(手吹き工法)
(—-熟撰も、専用グラスで…菅原工芸硝子製(手吹き工法))

ショットグラスでスーパードライ!

これはおすすめ。
カウンター席限定で、注ぎ手の近くで、ショットグラスでスーパードライが飲める。
ドイツの、ケルシュの立ち飲みの常連客のスタイルを取り入れたものだが、そのグラスは金口で、その席に座るまで10年と言われている。

サクサクとした弾ける泡のクリスプサーヴと柔らかくクリーミーな泡のシャープ注ぎ。
ぜひ飲み比べて違いを味わっていただきたい。

樽生ビール(全9種類) (税込み価格)
TAP1.2

スーパードライ(クリスプサーヴ・シャープ注ぎ) レギュラー740円/ショット(クリスプサーヴ)420円

TAP3

ピルスナーウルケル ラージ1320円/レギュラー 780円

TAP4

熟撰 レギュラー880円

TAP5

アサヒ生ビール黒生(マルエフ黒)

TAP6~9

ゲストビール4TAP(イベント時は移動式ディスペンサーで+4TAP)

ビールの国の郷土料理

今もヨーロッパで愛され続けている、ビールに合うオーソドックスな料理が揃ったフードメニューも、KEEL’S BARの魅力だ。

中でも、アイスバインは、おすすめ。
ドイツを代表する料理で、豚のスネ肉を長時間塩漬けし、玉ねぎ、セロリなどを加えたマリネ液で丁寧に煮込んだもの。ビアホールでもお馴染みの料理だが、最近では珍しくなってきたかもしれない。

ランチメニューもある。学生の街・お茶の水に合わせて、ランチタイムは学割も有り。

メニューブックの表紙や、椅子やテーブル、半立ち飲み用の腰かけは、アサヒスーパードライ 梅田から譲り受けた。ビアホール文化継承の印だ。丁寧に手入れをしてあり、椅子もテーブルもびくともしない。椅子に刻まれた「AB」の刻印に触れてみた。大阪弁の社交場の賑わいが聞こえてくるような気がした。

クリスプサーヴのスーパードライを、ぜひ一度味わっていただきたい。

画像提供 KEEL’S BAR

KEEL’S BAR https://keelsbar.com/

東京都千代田区神田駿河台2-1-20 お茶の水ユニオンビル1F
JR御茶ノ水駅(御茶ノ水橋口) 徒歩2分
03-5577-7505
[営業時間]
平日11:30 〜 15:00 17:00 〜 22:00
土曜11:30 〜 21:00 定休日・祝

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