子ども向けの薬でも副作用は起こる?副作用が起こりやすい人の特徴とは?薬剤師が解説

薬は病気やケガを治したり症状をやわらげたりするうえで重要な働きをしますが、副作用を起こす可能性はゼロではありません。子ども向けの薬でも、予期せぬ副作用が出る場合もあるため、副作用について正しく知っておくことが大切です。今回は薬の副作用について、代表的な症状や対処法などを薬剤師が解説します。

薬の副作用はどんなときに起きる?

薬には「主作用」と「副作用」があります。主作用はその薬に本来期待されている働きのことであり、一方の副作用は本来の目的とは異なる、吐き気や発疹などの有害な作用を示す言葉です。

薬の副作用はどのようなケースで起こるのか、副作用が起こる原因と、副作用が出やすい人の特徴を解説します。

副作用が起きる理由

副作用はさまざまな原因で起こりますが、おもに「その薬が持ち合わせている性質」によるものと「薬の使用法や飲み合わせ」、「薬を使用する人の体質や体調など」に分類されます。

たとえば、薬の成分にもともと眠気や口の渇きなどを起こしやすい性質がある場合、使用時にこれらの副作用が出る可能性があります。

また、本来の服用量よりも多く飲みすぎてしまったり、服用間隔が短すぎたりすると、体内で薬の濃度が高まって副作用が出やすくなるため注意が必要です。他の薬や食品との飲み合わせによって、副作用が生じる場合もあります。

その他にも、体調不良やアレルギー体質などで副作用が出やすくなるケースが見られます。

副作用が出やすい人の特徴

アレルギー体質の人や子ども、高齢者、肝臓・腎臓などに持病がある人、妊娠中の人などは副作用が出やすいといわれています。

過去に特定の薬で発疹やかゆみなどのアレルギー症状を起こしたことのある人は、同じ薬を再び使用するとアレルギー反応が起こる可能性があるため、使用を避けなければなりません。薬に限らず、卵や牛乳のアレルギーがある場合にも、一部の薬の使用を避ける必要があります。アレルギー体質の人や、家族にアレルギー歴がある人は、薬の処方・購入時には医師・薬剤師に相談しましょう。

また、子どもや高齢者は薬の代謝・排泄の機能が一般成人よりも低いため、副作用のリスクが高まります。薬はおもに肝臓で代謝され、腎臓で排泄されるため、肝臓・腎臓の機能が低下している場合にも副作用が出やすいのが特徴です。

妊娠中の女性は体内にさまざまな変化が生じて薬の副作用が出やすくなるとともに、胎児に影響が及ぶ可能性があるため、薬の使用に関しては主治医に相談しましょう。

子ども向けの薬でも副作用は起こる?

子ども向けの薬でも副作用が起こる可能性はあります。前述のとおり、子どもは肝臓・腎臓などの働きが発達途上であり、薬の代謝や排泄に時間がかかりやすいのです。

とはいえ、アレルギー歴に注意しながら用法用量を守り、飲み合わせなどにも注意して使用するのであれば副作用を怖がり過ぎる必要はありません。薬に関してわからないことがあれば、医師や薬剤師に相談して適切に使用しましょう。

そのうえで、次にお伝えする代表的な副作用の症状や対処法を知っておくことが大切です。

よくある副作用の症状

子どもに使われる薬で比較的多いのが、抗アレルギー薬による眠気や口の渇き、抗生物質の下痢・軟便症状などです。軟膏やクリームなどの外用剤が肌に合わず、接触性皮膚炎(かぶれ)を起こすケースも見られます。また、発疹やかゆみなど、薬の成分によるアレルギー反応が起こる場合もあります。

頻度は低いものの、重篤なアレルギー反応である「アナフィラキシーショック」にも注意が必要です。アナフィラキシーショックでは通常投与後30分以内に発疹や嘔吐、息苦しさや動悸などが生じ、命に関わるおそれがあります。(※1)

副作用への対処法

薬の副作用が疑われるときは、処方元の医師やかかりつけの薬剤師に相談しましょう。相談する際には、薬の名称や服用量、服用期間、最後に服用した時間、副作用の症状などを説明してください。

休日や夜間などで医師や薬剤師との連絡がとれない場合には、「こども医療でんわ相談」に電話をかけて対処法や病院受診の必要性などを相談するといいでしょう。こども医療でんわ相談は年末年始を含めて全国で実施されている厚生労働省の事業であり、電話で「#8000」をプッシュすると相談窓口の小児科医や看護師からアドバイスを受けることができます。(※2)

なお、アナフィラキシーショックの場合は一刻も早い治療が必須となるため、救急車を呼んでください。

副作用を正しく知って、適切に薬を使おう

毎日の暮らしのなかで、病気やけがは避けられないものといえるでしょう。薬を安心・安全に使用するために、用法用量や使用上の注意を守って適切に使用してください。アレルギー体質の人はとくに注意し、医師・薬剤師に相談することが大切です。

もしも副作用が生じた際には医師・薬剤師に連絡したり「こども医療でんわ相談」へ相談したりするなど、落ち着いて対処することが大切です。副作用を怖がりすぎず、薬を適切に使って健やかな日々を過ごしましょう。

<参考文献>
※1 医薬品医療機器情報提供ホームページ「重篤副作用疾患別対応マニュアル アナフィラキシー」
※2 厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」

PROFILE

あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり

薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-Youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=211332f2tmhy00010067
●Medical Health CH::https://www.youtube.com/playlist?list=PLha9jt4tT7-xa-y83vBY8Ir-1-FqAYyWj

© 株式会社ベネッセコーポレーション