ベストラップ『1.6秒落ち』で完走果たしたJujuが“フルコース”の初陣に得た自信「クルマと友達になれた」/SF第1戦

 3月10日、三重県の鈴鹿サーキットで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権の開幕戦で、注目のルーキー、Juju(TGM Grand Prix)は堅実な走りを見せ、31周で争われたレースを17位でフィニッシュした。トップからは1分09秒のおくれ、同一周回でのチェッカーとなった。

 2回目のアタックができず19番手と不完全燃焼に終わった予選後、決勝へ向けた目標を「まずは完走」と話していたが、その目標をクリアした形となった。

■「そのままロケットで1コーナーに行っちゃった」

 日本人女性として初、そして史上最年少での日本のトップフォーミュラ参戦とあり、多くのファン、そしてメディアがJujuを取り囲んだこの週末。スーパーフォーミュラでの初レースを「本当に楽しい、いいレースができたと思います」と総括したJujuは、その後も「いいレース」「自信になった」というフレーズを繰り返し口にした。

「(レース前は)『まずは完走』と思っていましたが、それ以上のことができました。想像以上に良いスタートというか、完璧なスタートが切れましたし、いいペースでしっかりと走れました。まわりと同じくらいのペースで走れていたので、それは本当に良かったと思います。チームからも『おめでとう。思っていた以上に、いい走りをしてくれた』と言ってもらえたので、自分にとってもすごく自信になります」

 好スタートを切ったJujuだったが、直後の1コーナーではオーバーランを喫する場面も。これについては「本当に最高のロケットスタートが切れたんですけど、そのロケットのまま1コーナーに行っちゃった感じです」と笑う。

 このコースアウトでさえも、Jujuにとっては自信につながったという。タイヤがまだ温まりきっていないスタート直後の状況で「あそこまで踏んで行けたことが、自分にとってすごく自信になります」と胸を張るのだ。

「最初にスーパーフォーミュラに乗ったときはそこまでクルマに自信が持てませんでしたが、今日を終えて、なんかクルマと友達になれた感じはします」

2024スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿 Juju(TGM Grand Prix)

 その感覚は、タイムにも表れている。Jujuが残したレース中のベストラップは1分40秒895。これは山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)の記録したファステストラップから1.608秒遅れというものであり、ふたつ前のポジションでフィニッシュした笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)のベストラップを上回った。

 2月の公式テストでは首位から約4秒、前日の予選でもQ2ポールタイムからは約4.8秒の遅れだったことを考えれば、Jujuは決勝日に大きな進歩を遂げたことになる。

「こういう展開は想像していなかった」とJuju。「1日目の練習(フリープラクティス)のときの流れは良くなかったですが、そこからチームみんなでそこを断ち切って最終的に最高のレースができたので、この結果が絶対にこれから生きてくると思います」。

 また、これまでは「マックスでも30分とか、25分くらいで終わるレースに出てきた」というJujuは、ほぼ“ぶっつけ本番”となるロングラン、そしてスタート、セーフティカー、タイヤ交換、そこからのコールドタイヤでのアウトラップと、スーパーフォーミュラならではの要素をひととおり“フルコース”で経験。「しっかりとレースを走り切って、全部経験することができたので、本当にいいレースができました」と収穫も多かったようだ。

「途中、右京さんとか、大湯(都史樹)選手とかにも追いついていくことができた」と、決勝を戦う手応えもつかめたようで、「少なからず、前のクルマは自分のことを意識してはくれていたと思うので、そこはすごく自信になりますね」と語った。そんな充実感も、チェッカー後に観客席に向けてコクピットから手を振るという、ルーキードライバーらしからぬ行動につながったのかもしれない。

 完走をクリアしたいま、次の目標を問われたJujuは「次のオートポリスは自分にとって経験がないところなので、走ってみたらいろいろと壁は出てくると思うのですが、これまでとやることは変わらず、一歩一歩学んで成長して、楽しんでレースがしたいですね」と、テストから引き続き、具体的な数字での目標は置かず、着実なステップを踏んでいく姿勢を示した。

決勝後、ピットで池田和広チーム代表とタイミングモニターを見ながら話すJuju(TGM Grand Prix)
2024スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿 好スタートを決めた後、1コーナーでコースアウトを喫するJuju(TGM Grand Prix)

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