給食での窒息事故が心配……防止のために親にできること【小児科医が解説】

誤嚥事故・窒息事故は、思わぬ食材でも起こることがあります。噛む力が高くなる小学生でも、注意が必要です。学校給食で食べ物を喉に詰まらせないために、親にできることはあるのか、解説します。

Q. 給食での窒息事故が怖いです。親にできることはないでしょうか?

Q. 「小学生の子を持つ親です。学校給食のうずらの卵による窒息事故の報道を目にし、とても不安になっています。うちの子どもは食べるのが遅く、給食が時間内に食べきれないことも多いようです。 慌てて食べて喉に詰まらせてしまったら……ととても心配なのですが、学校給食に対して、何か親にできることはあるでしょうか?」

A. 事故を100%予防するのは難しいですが、できることを伝えていきましょう

小学生になると、乳幼児の頃よりも、噛む力、飲み込む力がついています。しかし、誤嚥に関しては、まだ油断できません。 歯の生え変わる時期ですし、食べている途中にふざけて走り回ってしまったり、まとめて何個もほおばってしまったりすることでも、事故が起こりやすくなります。 ご家庭でできることとしては、給食のときに注意しなくてはいけないことをお子さんに話すことでしょう。ぜひ、日本小児科学会が挙げている、以下のポイントを参考になさってください。 ・水分を摂ってのどを潤してから食べる ・一口にたくさん詰め込まない ・よく噛んで食べる ・食べることに集中する ・口の中に食品があるときはしゃべらない ・あおむけに寝た状態や、歩きながら、遊びながら、食べない 特に、歯の生え変わり中で、うまく噛み切れなかったり、噛みにくかったりする時期は、食材にも注意が必要です。 丸くてつるっとした食べ物や、くっつきやすくて唾液を吸収して飲み込みづらい食べ物、固くて噛み切りにくい食べ物などは、少し避けるようにするか、食べるときにはできれば箸やスプーンなどで小さくしてから食べるように伝えましょう。 年齢的には、まだ食事中でも友だちとふざけたり、遊びたくなってしまったりする時期です。 誤嚥事故は、まじめに食べていても100%予防できるというものではありませんが、食べるときには少しだけ遊ぶのを我慢して、しっかりと噛んでごはんを楽しむように伝えていきましょう。

清益 功浩プロフィール

小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院にて小児科診療に従事。論文発表・学会報告多数。診察室に留まらず多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。 (文:清益 功浩(医師))

© 株式会社オールアバウト