南西諸島の抑止力強化をアピール 日米共同訓練「アイアン・フィスト」、鹿児島・沖永良部島で始まる

自衛隊員が展開したグラウンドに降り立つ米海兵隊ら=10日、知名町の大山総合グラウンド

 陸上自衛隊と米海兵隊は10日、沖永良部島で海と空から上陸する離島奪還訓練「アイアン・フィスト(IF、鉄の拳)」を始めた。同島での日米共同訓練は初めて。部隊の空輸・展開など実戦的な連携を確認。中国と隣り合う南西諸島で抑止力強化をアピールした。11日は偵察用ボートによる上陸訓練などを行う予定。

 今回のIFで唯一、自衛隊や米軍の施設以外で行われる「生地(せいち)訓練」。午後2時ごろ、島の南部・知名町の大山総合グラウンドに陸自輸送ヘリコプターCH47が土煙を上げて着陸。後部ハッチから小銃を持った陸自隊員約30人が素早く飛び出した。

 米軍ヘリCH53も飛来し、海兵隊員約30人が降り立った。約40分間で輸送ヘリ3機が離着陸し、攻撃型ヘリも周囲を警戒した。

 隊員らは隣接する町のキャンプ場に移動し、敵役を射撃しながら前進する動きも確認。同日夕、ヘリで戻った。島の沖合には、海自の輸送艦と米海軍の強襲揚陸艦が展開し、ヘリの拠点となった。予定した米ステルス戦闘機F35Bの飛来はなかった。周辺では家族連れらが見学し、反対派はのぼりを掲げて抗議した。

 IFは2006年から米本土で実施。昨年初めて日本国内に移り、徳之島や喜界島で大規模な生地訓練を行った。今年は現場での部隊訓練に加え、日米の司令部による作戦策定や各部隊への指揮を盛り込み、一層の実戦化を図る。

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知名町のキャンプ場で戦闘訓練をする米海兵隊員ら=10日、同町の大山野営場

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