経験ない世代が「考える日」 一関市立厳美小 全校挙げ防災学習 東日本大震災から13年

震災学習発表で下級生に陸前高田市の状況を報告する厳美小の6年生。命を守るための「津波てんでんこ」などを分かりやすく教えた

 未曽有の被害を出した2011年3月11日の東日本大震災から13年。発災当時を知らない世代が年々増加して記憶と教訓を伝承する重要性が高まる中、一関市厳美町の厳美小学校(佐藤加奈子校長、児童94人)は、毎年3月に「震災を考える日」を設定するなどして防災教育に取り組み続けてきた。08年に起きた岩手・宮城内陸地震の震源地に近いこともあり、震災を自分ごとと捉えて命を守れるよう児童の心を育んでいる。

 同校は12年から毎年3月に「震災を考える日」を設け、全校で避難訓練から震災学習発表、おにぎり会食、学びの振り返りまで半日かけて取り組んでいる。

 今年度は1日に「震災を考える日」を実施。大学教授の講演や、非常時を想定して鍋で炊飯・調理するおにぎり作りも行われ、盛りだくさんの内容となった。

 震災学習発表では、6年生18人が地震による大津波で甚大な被害を受けた陸前高田市を23年11月に訪れて学んだことを1~5年生に発表。「最大震度は7で、元日に起きた能登半島地震と同じ揺れです」とした上で、変わり果てた街の様子、失われた命、備えの大切さ、復興への歩みを伝え「東日本という大規模な地震を決して忘れてはいけません。今度は私たちが地震について教える番です」と呼び掛けた。

 発表後の全校アンケートでは、てんでばらばらに逃げるという意味の言葉「津波てんでんこ」が分かった、家の人に伝えたいといった感想が主に低学年から寄せられたほか、5年生の中には「来年は私たちが発表するので、みんなに震災の怖さを教えたい」と書いた子もいた。現在の小学生は震災後の11年4月以降生まれで直接被災した経験はないものの、教訓をつなごうとする気持ちがうかがえる。

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