国内に剥製が数体のみ…絶滅した幻のオオカミの頭骨とミイラ、神奈川の村で保存されていた 地元で報告会

オオカミの頭骨の調査について説明する清川村文化財保護委員長の飯塚利行さん=村生涯学習センターせせらぎ館

 100年以上前に絶滅したとされるニホンオオカミの頭骨4個とミイラ化した前足1個が清川村内に良好な状態で保存されていたことが分かり、調査に当たった村文化財保護委員長の飯塚利行さんが、村生涯学習センターせせらぎ館(同村煤ケ谷)で開いた村民向け報告会で説明した。頭骨などの存在は、伝えてきた家以外には村内でもほとんど知られていなかっただけに関心を呼び、定員を超える35人ほどが参加。幻のニホンオオカミに思いをはせた。

 飯塚さんは昨年、オオカミ信仰で知られる武蔵御嶽神社(東京都青梅市)の依頼で村内の頭骨などを調査。かつての研究論文を手がかりに3個の頭骨とミイラ化した前足1個が、良好な状態で別々の民家に保存されていることを確認した。もう一つの頭骨は調査に先立ち、平塚市内の住民を介して同神社に寄贈されていたことも判明した。

 同神社はこの頭骨と前足を所有者から借り受け、12年に1度の同神社の「大口真神式年祭」に合わせ、神社宝物殿で昨年4月から今年2月まで開催した「オオカミ信仰とおいぬさま展」で展示した。2月24日に開かれた報告会では、所有者の協力で頭骨2個を会場に展示。参加者は貴重なオオカミの頭骨を間近で観察した。

 ニホンオオカミは、国内には剥製が数体しかないとされ、謎が多い。

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