伝統工芸に触れるフランス料理店 4月開業、高岡中心部の古民家改修

古民家の良さを生かし、漆塗りで仕上げた内装=高岡市桐木町

  ●銅器や漆器の体験、作品展示

  ●地元のシェフや職人集結、若い力で観光振興へ

 高岡市中心部の繁華街に4月中旬、築約100年の古民家を改修したフランス料理店がオープンする。地場食材を使った料理の提供だけでなく、インバウンド(訪日客)の増加を見据え、蔵を活用した体験会や展示などを通じて高岡の伝統工芸を発信できる「新しい仏料理店」を目指す。店の運営には地元出身のシェフやデザイナーら新進気鋭の職人が集結。若い力で地域の活性化、観光振興につなげる。

 開業するのは、フランス料理店「moku(モク)」。店舗は御旅屋セリオ近くにある正村家(同市桐木町)をリノベーションした。正村家は大正から昭和初期に建てられた母屋と明治期に造られた蔵、広大な庭を備えており、10年前から空き家となっていた。

 客席として使用する母屋は、元の構造を生かしながら改修し、天井や柱は高岡の職人が漆塗りで仕上げた。ガラス張りの開放的な空間で、若手庭師による和と洋を組み合わせた庭の風景を客席から満喫できる。

 隣接する蔵では、高岡銅器、高岡漆器など伝統工芸の職人によるワークショップや作品展などを実施し、訪れた人とものづくりの担い手が触れ合う場にする構想だ。

 蔵に残されていた銅器製の火鉢や漆の器も、市内の職人の手で再生し、鉢植えや食器として活用する。

 高岡龍谷高調理科OBの橋本竜さん(27)=高岡市=がシェフを務め、地元産の食材をふんだんに使った料理を提供する。橋本さんは高校卒業後、富山県内のホテルを経てフランスのレストランで修業した。帰国後は富山市のフランス料理店で料理人を務めていた。

 店は、不動産賃貸などを手掛ける「タイヨー」(同市野村)が運営主体となる。3月末にプレオープンし、しばらくは夜のみ予約制でコース料理を提供する。将来的にはランチタイムの営業も行う予定だ。

 店のスタッフや庭師のほか、家具の設計やロゴ作りなども若手中心で手掛けており、橋本さんは「若い力で高岡を盛り上げていきたい」と意欲を見せている。

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