珠洲70日ぶり「水」 中心部110戸で水道復旧

蛇口をひねり、水が出ることを確認する市民=10日午前11時半、珠洲市上戸小

  ●95%いまだ断水 5月下旬解消へ

 能登半島地震を受け、ほぼ全域で断水が続いていた珠洲市で10日、中心部の約110戸の上下水道が復旧した。70日ぶりに蛇口から水が出ることを確認した市民からは「ようやくこの日が来た」「これで洗濯ができる」と喜ぶ声が聞かれた。

 断水が解消したのは市役所や市総合病院の周辺、避難所となっている上戸小、飯田小周辺など。給水人口の約9割をまかなう宝立浄水場が復旧し、配水管の改修も進んだため、通水が再開された。

 上戸小では避難者が校舎前の手洗い場の蛇口をひねると勢いよく水が流れ出た。同校で避難生活を続ける上戸町南方の藤部富子さん(71)は「トイレや洗濯がこれまで不便だった。水道が使えることに、こんなに感動するとは思わなかった」と安堵(あんど)の表情を見せた。

 珠洲市によると、全体の95%に当たる約4540戸で断水は続いており、全域での解消は5月下旬を目指している。復旧作業に当たっている名古屋市上下水道局の神谷隆行第12次応援隊長は「被災状況は想像以上にひどかった。一日も早く水を届けたい」と話した。

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