たかがオープン戦、されど…阪神9連敗でも心配無用? 吉兆と言えるデータも

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4万大観衆の甲子園で巨人に敗れ9戦全敗、チーム合計25得点44失点

昨年38年ぶりの日本一に輝き、連覇を目指す阪神タイガースがオープン戦で勝ち星なしの9連敗を喫した。

10日の巨人戦には甲子園でのオープン戦史上最多の4万1129人が詰めかけたが、終盤の追い上げも届かず4-5で敗戦。23日に京セラドーム大阪での主催試合はあるものの、今週から遠征が続くため2007年以来のオープン戦甲子園全敗が決まった。

9連敗は球団ワースト記録を更新しただけでなく、1985年に歴代ワースト記録の13連敗を喫した中日と、同年にパ・リーグ記録の11連敗した近鉄以来39年ぶりとなる不名誉な記録。いくらオープン戦とはいえ9戦全敗、チーム合計25得点44失点とあっては、シーズンに向けて心配する声が出るのも仕方ない。

しかし、不安材料ばかり挙げてもキリがないので、敢えて前向きなデータを紹介しよう。

オープン戦で11連敗した1985年の近鉄は開幕ダッシュ

まず1985年に連敗記録を作った中日と近鉄は、3月22日の直接対決で近鉄が勝利。連敗を11で止めた。

岡本伊三美監督率いる近鉄は、シーズンが始まると逆に開幕ダッシュ。4月は11勝5敗1分と勝ち越して首位に立っていたのだ。

その後、シーズン中にベテラン鈴木啓示が引退するなど勢いは続かず西武の独走を許したものの、最終的には3位フィニッシュ。オープン戦の成績から見れば悪くないシーズンだった。

同年に13連敗した中日は、キャンプ前に田尾安志が杉本正、大石友好との交換トレードで西武に移籍。その影響もあって得点力が低下したが、4月は7勝5敗2分で3位につけていた。最終的には阪神が優勝し、中日は5位だったが、56勝61敗13分けの勝率.479とそれほど大きく負け越したわけではない。

ここ4年のオープン戦最下位チームのうち3チームが優勝

また、コロナ禍で開幕が延期された2020年の巨人は、4分けを挟んで9連敗の13戦勝ちなしでオープン戦を終え、オープン戦通算2勝10敗4分けの勝率.167で最下位だった。しかし、シーズンでは首位を快走。2位・阪神に7.5差をつけて優勝した。

さらに2021年に優勝したヤクルトもオープン戦は3勝9敗1分けで最下位。2022年も4勝11敗2分けでオープン戦最下位だったヤクルトが連覇を果たした。ここ4年のオープン戦最下位チームのうち3チームが優勝しているのだ。オープン戦最下位に終わっても悲観する必要はなく、むしろ吉兆と言える。

そもそも戦力的に見れば、阪神は連覇できるだけの充実ぶりを誇っている。梅野隆太郎らケガ人の回復ぶりが気掛かりではあるものの、逆に新戦力が台頭するチャンスとも言えるだろう。たかがオープン戦、されどオープン戦。猛虎が牙をむくのは春が来てからでいい。



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